胚移植後~妊娠初期の過ごし方、サプリメント、歯科治療

 

胚移植後~妊娠初期の過ごし方で気をつけること

「胚移植後はどのように過ごしたら良いですか」

「サプリメントや歯科治療はどうしたら」

外来でよくご質問を受けます。

 

ご回答するためにブログを作成しましたら

数が増えてきましたのでまとめました。

ご参考になれば幸いです。

自転車

胚移植~妊娠初期の自転車は?

 

結論からいいますと

胚移植後~妊娠初期の自転車は問題ないと考えて良いと思います。

※不正出血がある時やつわりがひどいときには自転車に乗らず、安静にしましょう。

 

妊娠中の固定自転車の運動についての論文では

運動に伴う潜在的な危険因子として考えられる

流産や子宮内胎児死亡の発生率に有意差はありませんでした。

 

日本産科婦人科診療ガイドライン産科編でも

適度な運動は早産や低出生体重児を増加させず

健康増進が期待できるとしており

好ましい運動として固定自転車を上げております。

 

お腹が大きくなる妊娠後期は『転倒』や『接触』の危険性があり

避けた方が良いと思います。

 

しかし、まだお腹が目立たない

妊娠初期の患者様が転倒しやすいとは考えにくく、問題はないと考えます。

※不正出血がある時やつわりがひどいときには自転車に乗らず、安静にしましょう。

 

詳細は下記の記事を

胚移植当日~妊娠初期に自転車に乗っても大丈夫ですか?

重たいものを持つ

胚移植~妊娠初期の重たいもの

 

結論からいいますと

胚移植~妊娠初期に「人」を持つこと及び20㎏未満の「物」は大丈夫と考えて良いと思います。

 

妊娠中の重たいものと早産ついての論文では

1日に20kg以上のビールケースのような『物』を10回以上ないし、累計で1日1000kg以上の『物』を持ち上げることが早産のリスク因子となりました。

※バケツの入ったお水は約12kg程度なので大丈夫です。

 

ただ、誤解しないでほしいのですが

重たいものを持つことを推奨しているわけではありません。

できれば持たないほうが良いと思っています。

ただ、持たなければいけない状況もあるかと思います。

 

胚移植後や妊娠中も出血やお腹のはり・痛みが無ければ

無理のない範囲で『人』や20kg未満の『物』はもっても良いかと思います。

 

詳細は下記の記事を

胚移植当日~妊娠初期に重たいものはどのくらいまでいいですか?

ウォーキング

 

結論からいいますと

胚移植後~妊娠初期の適度なウォーキングは、問題ありません。

逆に過度の安静は不安とストレスを増やすため、推奨しません。

 

胚移植後の1日の歩数と妊娠との関連を調べた論文では

胚移植後の1日当たりの歩数に妊娠継続した方としない方の間で有意差はありませんでした。

むしろ1日の歩数が多い方のほうが妊娠率が高い傾向にあります。

 

その論文では

・身体活動の制限はストレスと不安を増やすこと

・すぐに日常に戻る方がストレスが少ないこと

・移植後の胚の位置はすぐに動いても変わらない

を説明しております。

 

日本産科婦人科診療ガイドライン産科編でも

適度な運動は早産や低出生体重児を増加させず

健康増進が期待できるとしており

好ましい運動としてウォーキングを上げております。

※もちろん前提として、不正出血がある時やつわりがひどいときには安静にして欲しいです。

 

胚移植後の安静は必要ですか?でも書きましたが

胚移植後もむしろ安静にしないほうが妊娠率は上がるという報告もあります。

 

日常生活でウォーキングをしている方においては

胚移植後~妊娠初期の適度なウォーキングは、問題ないと考えて良いと思います。

 

詳細は下記の記事を

胚移植後~妊娠初期にウォーキングしても良いですか?

胚移植後~妊娠中のサプリメント続ける?続けない?

胚移植前からサプリメントを

飲んでいる患者様はたくさんおられます。

 

サプリは種類が多く、高いものもあります。

もし、妊娠中のサプリで継続を迷う時があれば

最低限「葉酸のサプリだけ飲んでいれば良い」だけ

覚えておいてください。

葉酸

 

結論からいいますと

胎児の神経管閉鎖障害(無脳症や二分脊椎など)を予防するために1日400~800μgの合成葉酸の摂取を勧めています。

 

葉酸はビタミンB群の一種でB9です。

ほうれん草などの葉物に多く含まれています

 

妊娠中に十分量の葉酸を取ると

胎児の神経管閉鎖障害を減らす報告は多く

アメリカではシリアルなどに葉酸を添加することが

法律で義務づけられています。

 

葉酸には天然と合成があり

天然が食品(ほうれん草など)から

合成がサプリからとるものです。

 

イメージ的に天然のほうが良さそうですが

天然は消化管からの吸収が悪く

また調理の熱でも分解されてしまいます。

(利用率は50%程度)

対して、合成は利用率が高いです(85%程度)

 

厚生労働省は妊娠を希望する女性に対し

葉酸を食事からは1日240μgの摂取を

加えて1日400μgの合成葉酸の摂取を勧めています。

 

ただ葉酸サプリは1日400mgで足りるのか?という議論があります。

葉酸の上限は1日1000μgですが

この値を超えない程度まで

もっと葉酸を摂取すべきという考え方です。

 

葉酸を代謝する遺伝子の働きが生まれつき悪い方が

日本人にも多くいます。

この点を加味し、1日700~800μg程度サプリからを摂取しようというものです。

 

サプリの内服量が増えると煩わしいですが

神経管が完成する妊娠6-7週程度までは

700~800μg程度摂取しても良いと考えます。

 

詳細は下記の記事を

妊娠を考えたら、葉酸を取りましょう。

ビタミンD

 

結論からいいますと

妊娠してもビタミンDのサプリは継続しましょう。

 

ビタミンDの妊娠中の投与をまとめたレビューで

妊娠中の怖い合併症である

・妊娠高血圧症候群

・妊娠糖尿病

・低出生体重児

・分娩時大量出血

を減らす可能性が示唆されております。

 

ビタミンDはサプリ以外にも

①紫外線(日光)を浴びる。

最低週に2回、5~30分は日光を浴びる。

*紫外線を浴びるのが大事ですので、 日焼け止めを塗ってはいけません。

 

②食品からとる。

魚類(いわし・さば・サーモン)、キノコに豊富。

いわゆる日に浴びた食物と魚類が良いです。

からも取ることが出来ます。

 

ビタミンDは健康増進にも効果が期待できますので

ぜひ、継続していきましょう。

 

詳細は下記の記事を

不妊治療のビタミンD での治療~サプリはいつ飲む?摂取量は?いつまで?~

ラクトフェリン

 

結論からいいますと

ラクトフェリンの内服は、切迫早産の予防に有用ですのでぜひ継続して下さい。

 

そもそもラクトフェリンは何かといいますと

母乳や子宮頸管の粘液に含まれる

糖タンパクです。

元々、母体から分泌されており安全です。

 

ラクトフェリンはフェリンと名前がつくように

鉄を奪い去る作用があります。

 

大腸菌などの悪玉菌は発育に鉄を必要とします。

それに対して善玉菌である

ラクトバチルスは鉄を必要としないため

ラクトフェリンで環境を整えてあげることができます。

 

無事妊娠された後も

悪玉菌が増えて

子宮内感染→切迫早産→早産になる

危険性があります。

そのためにラクトフェリンは妊娠中も継続して下さい。

 

詳細や論文については下記の記事を

妊娠したらサプリメントは続けますか?~ラクトフェリン~

イノシトール

 

結論からいいますと

イノシトールの内服は、妊娠糖尿病の予防に有用ですのでぜひ継続して下さい。

 

イノシトールは

水溶性のビタミン類似物質です。

オクラ、マスクメロン、オレンジなどに

多く含まれています。

 

糖の代謝と卵胞の発育に

関わっており

糖の代謝異常を引き起こす

・PCOS

・妊娠糖尿病

などを改善する働きがあります。

 

そもそも、妊娠糖尿病って何?という

方もいらっしゃるかと思います。

 

糖質(炭水化物)を食べると血糖値が上がりますが

血糖値が高くなり過ぎないように

インスリンというホルモンがでます。

 

妊娠すると胎児は自分が大きくなるため

お母さんの血糖値を上げようとします。

できれば甘いジュースを飲みたいからです。

 

お母さんは自分を守るために

インスリンを出すのですが

元々糖尿病気味で

インスリンを出す力が弱っていると

負けてしまい、そのまま血糖値が高い状態に

なってしまいます。

 

妊娠糖尿病になると

・巨大児(4kg以上で生まれることもあります)

・帝王切開率の増加

・赤ちゃんの呼吸の力が弱くなるなど

様々な悪いことがおきます。

 

妊娠糖尿病を減らすために、イノシトールを継続しましょう。

 

詳細や論文については下記の記事を

妊娠したらイノシトールは続けますか?

飲まないほうが良いサプリは?

 

結論からいいますと

DHEA、メラトニン、レスベラトロールは、胚移植周期からは内服を止めましょう。

 

移植の時には子宮内膜が「老化」する必要があります。

 

抗酸化(老化)を防ぐ効果のあるサプリは

胚移植の成績を下げる可能性があるため

念のために中止しましょう。

 

詳細は下記の記事を

DHEA、メラトニンの注意点 ~胚移植の前には念のため中止にしましょう~

卵子の老化対策~採卵前のレスベラトロールの内服~

薬やワクチン、レントゲンは

薬やワクチン、レントゲンが

妊娠に悪い影響を及ぼすのではないか

ご心配の方も多いかと思います。

よく聞かれるご質問をまとめました。

インフルエンザワクチン

結論からいいますと

妊娠してもインフルエンザのワクチンは問題ありません。

 

産婦人科診療ガイドラインでも

『妊婦へのインフルエンザワクチン接種は、母胎および胎児への危険性は妊娠全期間を通じてきわめて低いと説明する。』

としています。

 

理由としましては

インフルエンザワクチンは不活化ワクチン

(病原性を無くしたウイルスの一部を使用)

のため影響がないからです。

 

しっかりとワクチンを打って、インフルエンザが重症化しないようにしましょう。

花粉症

花粉症の薬を飲んでもいいですか? ~妊娠初期、妊活中の場合

 

結論からいいますと

比較的安全性の高い薬はあります。薬を飲んではいけないわけではありません。

 

できるだけ胎児の影響を避けたいのですが

基本的な考え方として

内服よりは点鼻・点眼を

新薬よりは妊婦さんへの使用経験が豊富な古典的な薬を

選択するようにしています。

 

内服薬を希望される場合は

①ポララミン(第1世代)

②クラリチンないしジルテック(第2世代)

を推奨しております。

 

下記の記事に詳細を書きましたので、ぜひご覧ください。

花粉症の薬を飲んでもいいですか? ~妊娠初期の場合~

歯科治療

妊活中、妊娠中の歯科治療(麻酔や痛み止め、レントゲン)は大丈夫?

 

結論からいいますと

妊娠中の歯科治療は安全ですので、妊娠を理由に歯科治療を保留したり、制限する必要はありません。

 

歯科治療で気になる点については

・レントゲン

・抗生剤

・痛み止め

・麻酔薬

が患者様の気になる点だと思います。

 

下記の記事に詳細を書きましたので、ぜひご覧ください。

妊活中、妊娠中の歯科治療(レントゲン、抗生剤、痛み止め、麻酔)は大丈夫?

 

院長 菊池 卓