妊娠判定日のhCGが低い時~再判定の大切さと出産報告~
目次
判定日のhCGが低い時の3つの未来
胚移植後の判定日(hCG)の値が低かったときには、3つの未来があります。
①順調に発育
hCGの値が増えて、胎児の発育がしっかりあれば問題ありません。
②流産になってしまう
赤ちゃんの袋が見えずに生理がきてしまうのを、化学流産といいます。
③子宮外妊娠(異所性妊娠)
hCGが低い時には再判定をします
hCGが低い時には再判定をする理由ですが
1つめが子宮外妊娠を見落とさないためです。
子宮外妊娠は、破裂すると命に関わることもある怖いものです。
子宮は胎児の成長に合わせて大きくなれますが、卵管は細く伸びないため、卵管で妊娠すると胎児の発育に伴い破裂する危険があります。

子宮外妊娠の場合、hCGの値が低め、かつ不安定なことが多いため、安全を確認できるまで定期的なhCGの再測定が必要です。
2つ目ですが、無事出産される可能性があるためです。
判定日のhCGが20以下と低くても、その後出産された報告について
今回ご紹介するのは、海外の論文の大変興味深いケースです。
30歳の方が採卵を行い、胚盤胞移植を行いました。
胚盤胞移植11日目の血清hCG値が11.6IU/Lと、非常に低かったです。
その後のhCGの伸びも下記のグラフにありますが、良いとは言えません。
しかし、最終的には体重3,000gの健康な男児を出産しています。
筆者らは、初期のhCG値がたとえ低くても、その後のhCG値の上昇率が順調であれば、妊娠継続の可能性があるということ、
そしてその場合には、注意深く経過を観察することが大切だと述べています。
私の考えです。
もちろん、hCG値が低い場合に全てが無事に出産に至るわけではなく、残念ながら化学流産となる方も多くいらっしゃいます。
ですが、無事に出産される可能性はゼロではありません。
これは私の経験からも言えることで、当院でも判定日のhCG値が低かった方から、何人もの赤ちゃんが生まれています。
受精卵の生命力を信じ、私も、そして患者様にも、希望を持って結果を待っていただきたいと思っています。
判定日のhCGが低い原因は?
この論文では、初期hCG値が低くなる要因についても考察されています。
可能性として挙げられているのは、具体的には、母体の肥満、喫煙、出産経験がない(未産婦)、胎児が男児であることなどが示唆されています。
体外受精の判定の値と出血や生理痛のような腹痛などの症状について
体外受精の判定の日は緊張されると思います。
出血や腹痛などがあればなおさら着床していないのでは無いかと不安になると思います。
しかし、出血も生理痛のような腹痛も共に無事着床されている方にもよく起きる症状です。
あまり気になれないでください。
判定日とhCGの値の関係については下記の記事を参照ください。
院長 菊池 卓

静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。