反復着床不全の治療 GM(G-CSF) vs hCG vs 生理食塩水
良好な胚(受精卵)を複数回移植しても
うまくいかない場合を反復着床不全といいます。
子宮内膜の胚への受容性の低さが原因の場合は
移植の際に着床を助けるものを加えてあげることが
効果的な患者様もおります。
着床を助けるものとしては
・GM-CSF(G-CSF)
・hCGなどがあります。
GM-CSFは子宮内膜のマクロファージを活性化させ、着床に有利に働きます。
詳細は以前の記事を参照ください。
・hCGは採卵などでも使用しますが
移植前に子宮内に注入すると
妊娠率の向上を認めることが報告されています。
※当院ではオプションの数が増えすぎないよう基本的に行っておりません。
今回ご紹介する論文は下記の3つを比較しています。
G-CSF vs hCG vsプラセボ(偽薬)として生理食塩水。
対象は20~39歳の3回以上の胚移植の失敗歴のある方。
RCTです。
・G-CSF 50人
・hCG 49人
・生理食塩水 48人で比較検討。
新鮮胚移植で採卵日に子宮内に上記のいずれかを注入。
day5に新鮮胚を1~3個移植。
妊娠8週時点で胎児心拍が+で臨床妊娠としています。
結果です。
Clinical Pregnancy:臨床妊娠率及び
Implantation rate:着床率(臨床妊娠を移植した胚の数で割ったもの)
G-CSFが最も良い成績でした。
私の意見です。
当院でもGM-CSFの投与をおこなっておりますが
その最も良い点としては患者様への侵襲性の低さと考えております。
注入するだけなので、痛みはほとんどありません。
また、この論文でも取り上げられていますが胎児への悪影響もありません。
移植を複数回してもうまくいかない場合にはご検討ください。
下記はGM-CSFを移植用の培養液に使用した場合、グレードが良くない場合により有効であったとする報告です。
院長 菊池 卓
静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。