着床不全の方

反復着床不全に対する当院の取り組み

良好胚を3回以上繰り返し移植しても妊娠しない場合、反復着床不全:repeated implantation failure RIFが疑われます。

反復着床不全の原因は、子宮因子、免疫因子、受精卵因子と多岐にわたり、通常の不妊治療に加えて様々な検査・治療が試みられています。

当院では、主に以下の検査・治療をおこなっております。

1子宮内・卵管内の環境の問題

慢性子宮内膜炎

慢性子宮内膜炎(CE)は反復着床不全の30%以上の方に認め、流産が続く不育症との関連も指摘されております。
自覚症状は無く、検査をしなければわかりません。

検査は

  1. 子宮鏡検査
  2. 子宮内膜組織診検査
  3. 子宮内フローラ検査

をおこないます。

治療は抗生物質の投与、ラクトフェリンの内服、ラクトバシラス膣剤の投与です。

子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープは子宮内膜が増殖して突出したものです。子宮内環境を悪化させている可能性があるため、着床不全の方には切除が勧められます。

子宮内膜が薄い

胚移植前の子宮内膜が7mm以下と薄くなると妊娠率が低くなることが報告されています。

当院では子宮内膜厚を改善させるために、エストロゲン補充の強化、低容量アスピリン、葉酸、ビタミンE(ユベラ)の投与、G-CSFの子宮内投与などをおこなっております。

G-CSFの子宮内投与についてはこちらを参照ください。

子宮内膜と胚の相互応答

胚は発育しながら、子宮内膜と信号の相互応答をおこなうとされており、着床不全の原因が相互応答がうまくできていないことによる可能性があります。

相互応答を助ける方法として2段階移植およびSEET法があります。

2受精卵を受け入れる免疫寛容の問題

ビタミンD低値・銅/亜鉛比率高値

ビタミンDの不足は免疫に関与し、妊娠率の低下や流産率の上昇に関与します。
ビタミンDの補充は妊娠中の合併症を減らすとする報告もあり、積極的な治療を勧めます。

採血で不足を認めた場合には、主にサプリメントの補充で治療をおこないます。

Th1/2比・NK活性

免疫学的寛容がうまくいかず、受精卵(胚)に対する母体側の排除反応が強い場合、着床不全の原因となっている可能性があります。
採血でわかります。

免疫抑制剤の投与で排除反応を抑えます。

3受精卵側の異常

卵子の質を改善
男性不妊

精子の質を改善

  • サプリメント
  • 漢方

良い受精卵(胚)を得るためには卵子の質を改善させるだけでなく、精子の質も改善させることが重要です。
サプリメント、漢方による血流改善をおこない精子の質の改善をおこなっていきます。

不育症について

※不育症検査は当院の不妊治療後に流産された患者様のみに行っております。

流産は全妊娠の10~15%程度におきますが、2回以上の流産や死産の経験がある場合を不育症といいます。
不育症の原因には、原因不明であるものもありますが、抗リン脂質症候群のように診断、治療が確立しているものもあります。検査をおこない、治療をおこなうことで次回の妊娠、出産につなげる可能性が高くなります。
詳しくは当院公式ブログを参照ください。

※静岡市には不育症に対する助成金制度があります。
静岡市 不育症治療費助成事業のご案内(ちらし) (PDF形式 : 175KB)