プロラクチン(PRL)採血をルーチンに行う必要はない。

 

不妊症の治療を開始する前に

まずは原因を調べるために検査を行います。

 

その時にプロラクチン(PRL)を測定していました。

プロラクチンは乳腺刺激ホルモンとも呼ばれ

その名前の通り乳腺を発育させ、乳汁を産生します。

妊娠後期や授乳時に高くなります。

 

授乳中に妊娠すると大変です。

それを防ぐために、PRLが高いと排卵障害を引き起こし

妊娠しにくくする仕組みになっています。

 

ただ、妊娠を望む患者様にとっては

排卵障害は困りますので

初回に測定し、治療を行っていました。

 

まれなケースを除きますと、内服薬ですぐに改善します。

 

不育症の原因とも考えられた時代もあり

基本的には患者様ほぼ全員にルーチンで採血を行い

治療を行っていました。

 

ただ、PRLは良く値が変わるのです。

ストレスや食事などでも良く変わります。

もちろん、生理時期でも変わります。

 

 

そして、PRLは有毒なホルモンでなく

妊娠中の維持にも有益なホルモンです。

とにかく下げればよいものでもありません。

 

PRLが高いと

・生理不順や

・乳汁分泌などがおきるのですが、

生理が順調で、乳汁分分泌もない患者様の

高PRLの治療の意義を疑問視しておりました。

 

今回ご紹介する論文は

アメリカ生殖医学会の不妊女性に行う検査についての見解です。

 

 

この論文の目的です。

不妊症検査はたくさんあるのですが

検査は費用対効果が高く

迅速でなければならないとし

現在の検査方法と手順を批判的に検討しています。

 

 

この中でPRLは日常的な不妊症評価の一環としては推奨しないとしています。

※月経不順ないし乳汁分泌がある方に限定して測定を推奨。

 

また、他にも下記の検査のルーチンを勧めないとしています。

※太い黒字は他のブログとlinkします。

 

腹腔鏡検査、精子機能検査(DNA損傷の評価)、フーナーテスト、血栓性素因検査、免疫学的検査、核型検査、子宮内膜生検は推奨しない。

 

私の意見です。

検査をあえてしないということもとても大事なことだと思います。

 

フーナーテストが良くなく

思い悩んでいる患者様をみるといつも感じます。

誰だって検査結果が悪いと言われれば、傷つきます。

 

私もPRLの測定で同じことをしてしまっていました。

反省し、今後当院でもルーチンなPRLの測定は止めます。

今後も不必要な検査はできるだけ減らしていきます。

 

院長 菊池 卓