生理中の採血で何を見ているのか?①
生理中の採血は必須です。
とても大事ですので、ぜひ内容について理解して欲しいです。
私が問題ないですと伝えるのは
LH、FSH:3~10mIU/mL
エストラジオール50pg/mL以下
の時です。
ただし、ホルモンの値は絶対的なものではなく、周期ごとに変わります。
あくまで治療方針を決める参考条件の1つと考えてください。
①FSH(卵胞刺激ホルモン)
その名前の通り、卵胞を発育させるホルモンです。
月経中の正常値 3~15mIU/mL。
下垂体(脳の一部)から分泌されますが、高すぎても低すぎても良くないです。
高い場合(15mIU以上)は、卵巣予備能(機能)が低下している可能性が高いです。
10mIU以上で高めだなと思っています。
低い場合(3mIU/mL未満)は、下垂体(脳)からうまくホルモンが出ていない(分泌障害)と考えます。
②LH(黄体形成ホルモン)
発育した卵胞を排卵させ、黄体にするホルモンです。
FSHと同じく下垂体から分泌されます。
生理中のLHは単独で評価をせず、FSHの値と比較して評価します。
LHが7mIU/mLかつLH>FSH(LHが高い)とPCOS(多嚢胞性卵巣症候群:卵胞発育、排卵がしにくくなる病態)の可能性があります。
また、FSHも共に低いようならば分泌障害を疑います。
③エストラジオール(卵胞ホルモン)
FSHの刺激を受けて卵胞が発育すると、発育した卵胞からエストラジオールが産生されます。
月経中の正常値 20~50pg/mL。
生理中のエストラジオールが高い場合は、卵巣の予備能の低下が示唆されます。
卵巣の予備能低下が低下すると生理中から卵胞発育(エストラジオールの増加)が起きるためです。
*AMH(抗ミュラー管ホルモン)
AMHは採血時期やホルモン剤の影響を受けにくいです。
(LH、FSH、エストラジオールは生理周期やホルモン剤の内服の影響を受ける)
そのため、卵巣の予備能やPCOSの評価をするために非常に有用です。
保険適応がなく、自費であることが欠点ですが、採血のみでできるためお勧めします。
上記が基本的な採血ですが、さらなる追加項目は下記に続きます。
生理中の採血で何を見ているのか?②
院長 菊池 卓
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。