卵管が詰まっていたら、まずは子宮鏡下選択通水検査を。

先週神戸で行われていた学会で興味を持った報告です。

 

子宮卵管造影検査(HSG)で閉塞と診断されたかたに、子宮鏡下選択通水検査を行ったところ68%が実は通過性があったとする報告です。

 

ガイドラインでもHSGで近位閉塞との60%が再HSGで通っていたとされています。

 

子宮鏡下選択卵管通水検査は下記のイラストをご参照ください。

長所としては、カテーテルを卵管口に直接入れれるため、卵管のれん縮や粘液のつまりなどの偽陽性を減らすことができます。

 

HSGで子宮近くの卵管が詰まっている=FT(卵管鏡下卵管形成術)や体外受精ではなく、再検査をおすすめします。

 

再検査は3つの選択肢があります。

①再度のHSG

②腹腔鏡検査

③子宮鏡下選択卵管通水術→勧めます。

 

③を勧める理由です。

①のHSGは、また同じ理由で偽陽性が出るかもしれないので、できれば避けたいです。

 

②の腹腔鏡は卵管閉塞の確定診断になります。

卵管周囲の癒着の剥離もできますのでとても有用です

しかし、全身麻酔、入院が必要、小さい傷とはいえお腹を切りますので術後痛いです。

より侵襲の低い経腟アプローチや日帰り手術をしている施設も他県にはありますが、静岡市近辺で行っているところは私の知る限りありません。

どなかた知っていたら教えてほしいです。

 

③子宮鏡下選択卵管通水検査は、HSG同様に麻酔なし、5~10分程度で検査も終わります。

また、子宮鏡で子宮の中の状態も知ることができます。

今回の発表でも通水検査と同時に慢性子宮内膜炎も調べており、卵管閉塞の方は慢性子宮内膜炎が多く認められたと報告されていました。

卵管に加えて、着床因子である子宮内腔を見れるのは強みだと思います。

 

子宮鏡下選択卵管通水でも閉塞がありましたら、今後の方針(腹腔鏡検査、FT、体外受精)をご相談していきましょう。

卵管の検査については下記の記事を参照下さい。

卵管の検査にも種類がある?

 

院長    菊池 卓

 

—–