卵胞を育てるお薬① クロミッド
卵胞を育てるお薬(排卵誘発剤)は
どんな仕組みでしょうか。
今回はクロミッドをご紹介します。
一般名をクエン酸クロミフェンといいます。
不妊治療において、よく処方されるお薬です。
クロミフェンはエストロゲン拮抗作用を持ちます。
これはエストロゲンと同じレセプターにクロミフェンがはまることで、エストロゲンを作用させにくくしています。
特定の種類のイスにしか座れないイス取りゲームのようなイメージです。
そこでエストロゲンとクロミフェンが同じイスを取り合います。
では、エストロゲンを作用しづらくして
どうして卵胞が育つのでしょうか。
通常エストロゲンが増えるとFSHの分泌を減らします。
(ネガティブフィードバック)
しかし、クロミフェンを使用すると、エストロゲン拮抗作用によってネガティブフィードバックを阻害します。
すると脳はエストロゲンが少ないと認識し、FSHを増やします。
その結果、卵胞が育ちます。
実際の服用は月経3日目頃から1日1錠を5日間ほどです。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方やある程度ホルモン分泌が保たれている方の第一選択薬です。
体外受精の時にも使用できます。
副作用には頚管粘液が少なくなったり、子宮内膜が厚くなりにくいなどがあります。
院長 菊池 卓
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。