不妊治療のビタミンD での治療~サプリはいつ飲む?摂取量は?いつまで?~
前回はビタミンDが妊娠率を上げるために有用であることをお伝えしました。
ではビタミンDの濃度を上げる方法ですが
大きく分けて3つです。
①紫外線を浴びる。
最低週に2回、5~30分は日光を浴びる。
*紫外線を浴びるのが大事ですので、日焼け止めを塗ってはいけません。
冬場や曇りの日は紫外線が少ないので、長めに日光浴をする必要があります。
夏に紫外線を10分浴びるとビタミンDが0.47ng/ML増加するという報告があります。(冬は0.41ng/mL増加)
詳細は下記の記事を
妊娠率を上げるために~紫外線はどれくらいビタミンDを増やすのか~
②食品からとる。
魚類(いわし・さば・サーモン)、キノコに豊富。
いわゆる日に浴びた食物と魚類が良いです。
なぜ魚類が良いのか?
いわしやさばなども海の表層におり、ビタミンDが豊富なプランクトンを摂取しているからです。
詳細は下記の記事を
妊娠率を上げるために~魚(サケ)を食べてビタミンDを増やしましょう~
しかし、忙しい現代では
・①の日光浴をする時間
・②の魚を調理する時間も
確保が難しいかと思います。
そのため③サプリでの摂取を勧めます。
飲むだけと簡単。時間も取りません。
ではサプリの摂取量は?いつ飲むのか?いつまで飲むのか?についてです。
摂取量について
患者様それぞれで不足しているビタミンDの量が違います。
そのため採血で濃度を測定し、不足分に合わせた量を飲みましょう。
日本国内で販売されているサプリの多くは
1錠にビタミンDが25㎍(1000単位)含まれており
1日1錠内服するようにと書かれています。
ビタミンDの正常値は30ng/mL以上が望ましいですが
ビタミンDの濃度は患者1人1人違います。
5ng/mL程度しかない患者様もおり
そうした患者様が1錠しか飲まないと
いつまでも濃度は十分に上がりません。
低めの患者様には2~4錠のサプリを濃度に応じて内服してもらいます。
サプリもなんとなく飲むのではなく
濃度を測定して科学的に飲みましょう。
いつ飲むのか?
たくさん食事をしたときにまとめて1回で飲みましょう。
ビタミンDは脂溶性ビタミンです。
なので胃の中に脂質があるときが吸収が良くなります。
たくさん食べたときには、脂質も多く含まれているのでその時に飲みましょう。
分ける必要はありません。1回でまとめて飲んでください。
当院で採用しているbaby&me様のサプリは
表面を魚油(脂質)でコーティングすることで吸収を促進しております。
いつまで飲むのか?
妊娠しても継続して飲みましょう。
妊娠中の怖い合併症を減らすことが報告されています。
下記の論文はビタミンDの妊娠中の投与を
まとめたコクランレビューです。
・妊娠高血圧症候群について
499名を対象にした4件のRCTで、ビタミンDを内服するとリスクが低下する可能性が示されています。
(RR 0.48, 95% CI 0.30-0.79)
・妊娠糖尿病について
446名を対象にした4件のRCTで、リスクが低下する可能性が示されています。
(RR 0.51, 95% CI 0.27-0.97)
・低出生体重児について
697名を対象にした5件のRCTでリスクが低下する可能性が示されています。
(RR 0.55, 95% CI 0.35-0.87)
・分娩時大量出血について
1134名を対象とした11件のRCTでリスクが低下する可能性が示されています。
(RR 0.68, 95% CI 0.51-0.91)
・早産に関しては変わりませんでした。
妊娠中のトラブルを減らすために
妊娠中もビタミンDの内服はぜひ継続してください。<
ビタミンDは不妊治療だけでなく、その後の妊娠中や健康にも良いです。
できるだけ早く改善しましょう。
採血はどの時期でもできますので、希望な時はお伝え下さい。
外注検査のため、結果は2週間かかります。
他にも銅・亜鉛の濃度の採血も併せてお勧めしております。
下記の記事を参照ください。
院長 菊池 卓
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。