着床障害に銅・亜鉛を測定する意味はありますか。その改善方法は?

なかなか妊娠、着床されない患者様に、ビタミンDに加えて銅・亜鉛採血を行っております。

銅が高いと着床障害を引き起こす可能性があります。

銅は亜鉛と同じ場所から吸収されます。

そのため、亜鉛サプリを内服することにより銅の吸収を減らすことができます。

 

その根拠となる論文をご紹介させていただきます。

リプロダクションクリニックの松林先生の論文です。

 

40歳未満で良好な胚盤胞(3BB以上)を

ホルモン補充周期下に単一胚移植された269人の方が対象です。

血清hCG、銅、および亜鉛の濃度は、

黄体ホルモン開始時をday0として16日後に測定。

 

・妊娠10週以降も妊娠が継続している96人(グループP)

・妊娠していない173人(グループNP)で比較。

流産された方は除外されています。

 

妊娠継続群(P群)は妊娠していない群と比較して

・血清銅濃度が有意に高く

・血清亜鉛濃度が低くかったです。

 

さらに筆者らは銅(Copper)と亜鉛(Zinc)の比率に注目しており、

銅と亜鉛の濃度単独で見るよりも比率が重要であるとしています。

 

筆者はコメントとして銅が妊娠率の低下に及ぼす可能性として

・Wilson病という全身に銅が沈着する病気の方が妊娠率が低く、流産率が高くなる報告があること

・そのWilson病の方に亜鉛を投与したところ生児を得ることができたこと

・厚生労働省の発表している栄養調査で30~49歳の女性において銅の摂取量が必要量より多く、亜鉛摂取量が低いこと

・その理由として日本人女性は亜鉛を多く含むお肉を食べることを好まず、亜鉛を体外に排出させる働きを持つフィチン酸を含む大豆を好むことを上げています。

またこの研究の限界として、

・子宮内膜内の銅の濃度を測定出来ていないこと

・研究対象が大阪周辺の狭い調査人口で行ったため、日本人全体を評価出来ていない可能性があること

(農村地域に住む女性の銅摂取量が日本の都市部のそれよりも高いとする報告もある)

・後ろ向き研究であること

を上げています。

 

以下は私見です。

銅自体はヘモグロビン(血液の酸素を運ぶ成分)の生合成に必要なものであり、全くないことが良いわけではありません。

しかし、なかなか妊娠されない患者様の濃度を測ると論文にあるように銅が高く、亜鉛が低い方をよく見かけます。

特殊な検査ではなく採血のみで、生理時期なども関係ないため気になる患者様には測定を勧めています。

改善方法としては亜鉛サプリの内服です。

(亜鉛と銅は同じ所から吸収されるため、亜鉛が多いと銅の吸収量が減ります)

患者様より食生活について質問をうけますが

銅はチョコレートやカカオに多く含まれており、少し控えてみてもいいのではとお伝えしております。

*銅自体は牡蠣やレバーなどに多く含まれていますが、この2つを日常的に多く食べる方はいないと思います。

 

いつでも測ることができますので気になる方はお伝えください。

院長 菊池 卓

 

—–