妊娠を考えたら、葉酸を取りましょう。
「妊娠を考えたら葉酸を取りましょう」こんなフレーズを聞いたことがありませんか。
私もよく話しますし、最近はCMなどでも聞くようになりました。
葉酸はなぜ妊娠に良いのでしょうか?
葉酸はビタミンB群の一種でB9です。
その名前の通り葉っぱに多くあり、ほうれん草やアスパラガスに多く含まれています。
うなぎや煮干しなどにもあります。
葉酸自体が直接的な作用を持つわけではありません。
体内でアミノ酸を代謝した時にホモシステインという有害な物質が出来ます。
葉酸はこのホモシステインをメチオニンに変換させる作用があり、葉酸が足りないとホモシステインが体内に蓄積していきます。
*メチオニンは必須アミノ酸の1つで、鶏肉や豚肉などの食品に多く含まれる安全なものです。
ホモシステインは血管内への炎症を引き起こしたり神経毒性があります。
そのためホモシステインの濃度が高いと、
①脳梗塞や心筋梗塞などの虚血性心疾患、
②妊娠中は流産や妊娠高血圧腎症、低出生体重児
③さらには胎児の神経管閉鎖障害(無脳症や二分脊椎など)
にかかる可能性が上がります。
特に③は重篤です。
二分脊椎は脊椎(背骨)の癒合がうまくいかず、本来脊椎に守られている神経の一部がむき出しになっている状態です。出生後早期の手術が必要であり、神経後遺症が残る可能性があります。
十分量の葉酸を取ると(ホモシステイン濃度を下げると)、③を減らすという報告は多く有り、アメリカではシリアルなどの一般の穀物加工食品に葉酸を添加することが法律で義務づけられています。
日本でも旧厚生省が葉酸摂取が③を減らすという情報提供をするよう通達を出しているのですが、法律で義務づけられているわけではありません。
*葉酸添加の食パンも市販されるようになりましたが、添加量もそれほど多くなく、あまり見かけないです。
患者様ご自身が自分を、そして赤ちゃんを守るために十分量の葉酸を摂取する必要があります。
どんな葉酸をどれぐらいとれば良いかは次に続きます。
葉酸はどれくらい必要なのか。
院長 菊池 卓
静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。