葉酸はどれくらい必要なのか。

続きです。前回の記事はこちら

妊娠を考えたら、葉酸を取りましょう。

 

 

ではどれくらいの葉酸をとれば良いのでしょうか?

葉酸には天然(ポリグルタミン酸型)葉酸と合成(モノグルタミン酸型)葉酸があります。

天然が食品(ほうれん草など)から

合成がサプリからとるものです。

 

イメージ的に天然のほうが良さそうですが、天然は消化管からの吸収が悪く、また調理の熱でも分解されてしまいます。

(利用率は50%程度)

対して、合成は利用率が高いです。(85%程度)

厚生労働省は妊娠を希望する女性に対して、葉酸を食事からは1日240μgの摂取を、加えて1日400μgの合成葉酸の摂取を勧めています。

 

 

摂取開始時期ですが、神経管が妊娠6週で完成するため、妊娠が成立する1ヶ月以上前からの内服が勧められます。

(つまり、妊娠を希望したときから飲む必要があります)

 

そして、葉酸(B9)はビタミンB6とB12とチームで働きます。

ビタミンB6とB12も同時に取るのをお勧めします。

ビタミンB6はつわりを軽くする作用もあるので、なおさら良いと思います。

ドラッグストアのサプリコーナーを見てきましたが、全て含まれているものも増えていました。

 

以上が開始時期および摂取量のスタンダードな推奨プランです。

 

以下は近年提唱されている議論です。参考程度に見てください。

葉酸サプリは1日400mgで足りるのか?という議論があります。

葉酸の上限は1日1000μgなのですが、この値を超えない程度まで、もっと葉酸を摂取すべきという考え方です。

根拠です。葉酸を代謝する遺伝子にMTHFRという遺伝子があります。

生まれつきこの遺伝子の働きが悪い方がいます。(日本人にも多くいます)

その場合、葉酸を効率よく使えなくなります。(タイプにより利用率が35~70%低下する

このことを加味し、1日700~800μg程度葉酸を摂取しようというものです。

 

産婦人科診療ガイドラインでも神経管閉鎖障害のお子さんを出産した方には1日400μgではなく、もっと多くの葉酸を内服するよう記載しており、内服量に比例して神経管閉鎖不全障害の児が出生する確率が下がったとする報告も認めております。

 

サプリの内服量が増えると煩わしいですし、金額も嵩みますが、特に妊娠前から妊娠初期までは1日700~800μgの葉酸サプリの摂取を考えてみてもよいかもしれません。

 

院長  菊池 卓