妊活中、妊娠中の歯科治療(レントゲン、抗生剤、痛み止め、麻酔)は大丈夫?
結論から言いますと
妊娠中の歯科治療は安全ですので、妊娠を理由に歯科治療を保留したり、制限する必要はありません。
※産婦人科診療ガイドライン産科編2020より
逆に治療の遅れは不妊症や妊娠中の合併症を増やす可能性があります。
できるだけ早く治療しましょう。
詳細は下記の記事を参照ください。
歯科治療で気になる点については
・レントゲン
・抗生剤
・痛み止め
・麻酔薬
が患者様の気になる点だと思います。
1つ1つ解説していきます。
・レントゲンについて
妊娠初期に50mGy以上を
被曝すると胎児奇形になる可能性が
あります。
ただし、実際どれくらいの被ばくになるかというと
頭部レントゲン1枚につき 0.01mG以下
頭部CT1回につき 0.005mGy以下
と50mGyには到底なりません。
さらにプロテクターを腹部にしますので
もっと低く出ると思います。
・抗生剤について
妊娠中に使用しないほうが良い抗生剤もあるのですが
(テトラサイクリン・ミノマイシンなど)
日常診療で使用されることは稀です。
多くの歯科治療で使用されている
・ペニシリン系(サワシリンなど)
・セフェム系(フロモックスなど)
・マクロライド系(ジスロマックなど)
は問題になりません。
理由としましては
ペニシリン系・セフェム系ともに
『細菌には存在するけれどヒトには存在しない細胞壁を攻撃する』
ためです。
私も妊婦さんが膀胱炎やクラミジアになれば
上記の抗生剤を投与します。
*クラビットは念のためにやめておきましょう。
・痛み止めについて
アセトアミノフェン(カロナール、コカールなど)は
妊娠初期に内服しても胎児奇形を増やない
という調査があるため、
アセトアミノフェンを使用できます。
ロキソニンやボルタレンは
妊娠後期になると羊水量を
減らすなどのトラブルを引き起こす可能性があるため
産科主治医と相談しましょう。
・麻酔薬について
歯科ではほとんどがキシロカインで部分麻酔をしています。
部分だけあって、ほとんど血中に移行しません。
妊娠初期にキシロカインでの局所麻酔を
行っても胎児奇形と関連を認めなかった
とする報告もあります。
ただ、できれば妊娠中に
歯科治療を行うよりも
妊娠前に終わらせておいた方が
良いです。
日々お忙しいと思いますが
ぜひ歯科検診をすることを
お勧めします。
院長 菊池 卓
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。