虫歯(歯周炎)があると妊娠率が低下する。

 

『歯の治療をしてもいいですか』と

患者様よりご質問を受けます。

 

結論から言いますと

できるだけ早く虫歯の治療をしましょう。

妊娠中の歯科治療は安全ですので、妊娠を理由に歯科治療を保留したり、制限する必要はありません。

※産婦人科診療ガイドライン産科編2020より

 

今回ご紹介する論文は

歯周炎(虫歯)があると妊娠率が低くなるとことを報告しています。

 

 

対象は妊娠を希望する2764人の女性。

最初に下記の3つの質問を行い

・歯周炎と診断されたことがあるか?

・歯周炎の治療を受けたことがあるか?

・永久歯が抜けたことがあるか?

その後1年間追跡し、妊娠率を算出しています。

 

結果です。

FRが低いほど、妊娠するまでの期間が長くなります。

 

 

歯周炎に関係する質問のいずれもが妊娠率の低下と関連しておりました。

特に永久歯が抜けたことがある群が最も妊娠率が低い結果でした。

 

筆者らは歯周炎が深刻な状態が長く続くと

歯と歯茎の両方が破壊され

その結果歯が抜けるのではないか

歯周炎の重症度及び罹患期間が妊娠率の低下と相関するのではと考察しています。

 

 

私の意見です。

歯は血管を通じて体全体とつながっています。

歯周炎(虫歯)があると、血管を介して口の中の菌が全身に散ります。

 

心筋梗塞や脳梗塞の原因にもなりますが

子宮組織にも炎症を引き起こし

不妊症の原因の1つになりうることが報告されております。

 

さらに無事妊娠されても

歯周炎(虫歯)があることにより

・早産

・胎児発育不全など

が増える可能性が示唆されております。

 

ご自身でできることとしては

歯磨きをしっかり行うことですが

やはり歯科医院でしっかり

見てもらうことをお勧めしています。

 

大事なことなので繰り返しますが

妊娠中の歯科治療は安全ですので、妊娠を理由に歯科治療を保留したり、制限する必要はありません。

※産婦人科診療ガイドライン産科編2020より

逆に治療の遅れは不妊症や妊娠中の合併症を増やす可能性があります。

できるだけ早く治療しましょう。

 

詳細は下記を参照ください

妊活中、妊娠中の歯科治療(レントゲン、抗生剤、痛み止め、麻酔)は大丈夫?

 

花粉症などのアレルギーの薬については下記もご覧ください

花粉症の薬を飲んでもいいですか? ~妊娠初期の場合~

 

院長 菊池 卓

 

—–