妊娠初期の出血には安静が大事?

今日は、切迫流産についてです。

 

妊娠初期に出血や腹痛がある場合、切迫流産と診断されます。

胎児心拍がしっかりと確認できるまでは、自然に経過をみるしかありません。

胎児心拍が確認できた場合は、治療法として①薬物療法②安静を考慮していきます。

 

①の薬物療法に関しては、現行のガイドライン(2017年版)も2020年に改定予定のガイドラインも『流産予防効果が確立された薬物療法は存在しない』で変わりがありません。

効く可能性がある薬剤(デュファストンの内服など)はありますが、まだ確実に効果がありそうと言えるものはない段階です。

 

②の安静については、変更点が案として出てきていました。

 

 

現行のガイドラインでは

『胎児心拍確認後に絨毛膜下血腫を認める場合には安静療法が有効である可能性がある』

 

→改定予定ガイドライン産科編案

『休職や安静による予防効果は確立されていないが、勤務内容等によるリスクも考慮し、個々の症例における勤務緩和や安静の必要性を判断する』

現行のガイドラインでは、安静をしても悪くはないが、あまりする意味がなさそうな印象を受けます。

それに対して、改定予定のガイドラインでは予防効果は確立されていないとするものの、少し踏み込んで安静が必要かどうかの検討をしなさいとしています。

 

根拠となったのが、週に40時間以上の勤務をされている方や夜勤が多い方に流産率が高くなるという報告です。

元々、妊娠初期の出血はよくあるものであり、過度に心配するものではありません。

(赤ちゃんを元気に出産された方の1/4程度に認めるとされています。)

そのため、医師により切迫流産に対して安静を指示するかは様々です。

(私は安静をできるだけしましょうと伝える派です。)

 

しかし、今回ある程度の根拠が示されたことにより、妊娠初期に出血をされた場合にはできる限りの安静や仕事の軽減を模索していくことを積極的に伝えていきたいと思います。

 

院長   菊池 卓

 

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