胚移植当日~妊娠初期に重たいものはどのくらいまでいいですか?
前回は自転車についての記事を書きました。
今回は妊婦さんが重いものを持つことについての論文です。
デンマークの62,803人の妊娠女性が対象。
妊娠12~16週頃に電話で
・20㎏(ビール瓶1ケース相当)の重荷重ないし
・11~20kg(水の入ったバケツ相当)の中荷重の荷物を
1日何回持ち上げるかを質問。
早産との関連性を調べています。
結果です。
26.4%が仕事で重たい荷物をもち
2.9%が1日に1000kg以上の荷物を持ち上げていました。
20kg以上の重たい荷物を1日10回以上持つことが早産のリスク因子になりました。
1日に1000kg以上の荷物を持つと超々早期の早産及び超早期の早産のリスク因子になりました。
筆者らはさらに荷物を『物』と『人』にわけています。
『人』を持ち上げる場合、重たくても早産のリスク因子にはなりませんでした。
持ち上げ器具を使用したり、同僚の手助けもあるためではないかと推測しています。
結論として1日に
・20kg以上のビールケースのような『物』を10回以上
・ないし累計で1000kg以上の『物』
を持ち上げることが早産のリスク因子になることを報告しております。
日本の労働基準法でも妊婦さんには下記のように
重たい荷物を持つことに制限があります。
厚労省HP妊産婦などの就業制限の業務の範囲より抜粋
私の意見です。
妊娠中のいつでも妊婦さんが重たいものを持つことは良くないと思っています。
できれば持たないほうが良いと思っています。
ただ、持たなければいけない状況もあるかと思います。
・介護での移動
・バケツの入ったお水を動かす(12kg程度)など
いずれも20kg以上の『物』ではありません。
介護の移動も全くできない
バケツのお水も持てなくなると
仕事や日常生活に支障が出るかと思います。
胚移植後や
妊娠中も出血やお腹のはり・痛みが無ければ
無理のない範囲で
『人』や20kg未満の『物』はもっても良いかと思います。
下記の記事も参照にしてください。
院長 菊池 卓
静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。