胚移植後~妊娠初期にウォーキングしても良いですか?
以前、自転車と重たいものについての記事を書きました。
胚移植当日~妊娠初期に重たいものはどのくらいまでいいですか?
今回は胚移植後~妊娠初期にウォーキングについての論文です。
対象:38歳未満で良好胚で胚移植を行われた方。
スマートバンドを胚移植直後~妊娠判定日まで装着。
1日の歩数と妊娠との関連を調べています。
※スマートバンドとは腕時計のように手首に装着して、1日の歩数などを測定してくれるものです。
前向き研究です。
結果です。
胚移植後の1日当たりの歩数に妊娠継続した方としない方の間で有意差はありませんでした。
筆者らは他の論文も引用しながら下記を説明し
・身体活動の制限はストレスと不安を増やすこと
・胚移植後すぐに日常に戻る方がストレスが少ないこと
・移植後の胚の位置はすぐに動いても変わらないこと
結論として
医師は安静は胚移植の成績に
有益ではなくむしろ有害であることを
患者さんとそのパートナーに説明する必要があるとしています。
私の意見です。
日本産科婦人科診療ガイドライン産科編でも
適度な運動は早産や低出生体重児を増加させず
健康増進が期待できるとしており
好ましい運動としてウォーキングを上げております。
※もちろん前提として、不正出血がある時やつわりがひどいときには安静にして欲しいです。
胚移植後の安静は必要ですか?でも書きましたが
胚移植後もむしろ安静にしないほうが妊娠率は上がるという報告もあります。
今回の論文では有意差はついてはおりませんが
むしろ1日の歩数が多い方のほうが妊娠率が高い傾向にありました。
日常生活でウォーキングをしている方においては
胚移植後~妊娠初期の適度なウォーキングは、問題ないと考えて良いと思います。
院長 菊池 卓
静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。