PGT-A(着床前診断)のメリット・デメリット ~妊娠率・流産率は~

 

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)について

体外受精や顕微授精で得られた受精卵(胚盤胞)の細胞の一部を採取(生検)し

その細胞の染色体の数の有無を調べるのが着床前診断です。

なぜするのか?

 

流産の原因で最も多い、偶発的な胎児の染色体異常を見ることができるためです。

偶発的な胎児の染色体異常とは何でしょうか?

 

私たちの体の細胞の核には

遺伝子の塊である染色体があります。

下記のように46本(23対)あります。

 

 

お父さんから23本、お母さんから23本もらい

併せて46本(23対)になります。

 

その染色体数がたまたま増えたり

少なくなったりすると、染色体異常となり

流産や着床不全の原因になります。

どなたにもおきる可能性があるものです。

 

下記は21トリソミーの染色体です。

 

ただ、この偶発的な染色体異常は年齢が上がることに増えることが報告されております。

 

Franasiak JM,et al.(2014) Fertility and Sterility,101,656-663

 

胚盤胞が染色体異常である確率は

35歳まではおよそ30%程度ですが

その後は高齢になるほど急速に悪化し

40歳を超えると50%を超えてきます。

 

グレードが良い胚盤胞(AA)になっても染色体異常はあります。

染色体異常の胚盤胞を移植しても

・着床しない又は

・流産に至る確率が高いため

胚移植当たりの妊娠率及び生産率を上げることが出来ます。

方法

 

体外受精をおこない胚盤胞まで成長した段階で

栄養外胚葉細胞(のちに胎盤になる部分)の一部を生検し

5~10細胞程度回収します。胚盤胞は一旦凍結保存されます。

 

採取した細胞は検査機関にて、解析が行われます。

解析結果は3~4週間後に患者様に報告できます。

妊娠率、流産率はどれくらい変わるのか

 

上記は20~46歳の自己の卵子を用いてPGT-Aを行った論文です。

1621周期にPGT-Aを行い

PGT-Aなしの場合との治療成績を比較しております。

day5ないしday6の胚盤胞に胚生検を行っています。

 

 

加齢とともに妊娠率、生産率は下がります。

緑のPGT-Aなしの新鮮胚

オレンジのPGT-なしの凍結胚

共に42歳を超えると10%程度しか妊娠率がありません。

青のPGT-A有の凍結胚は42歳でも70%程度の妊娠率があります。

 

PGT-Aを行うと移植当たりの臨床妊娠率は70.6%、生児生産率は64.5%でした。

正常胚を得られれば、全年齢で60%以上の妊娠率を得ることができます。

メリット、デメリット

ただ、PGT-Aはどんな患者様でも簡単に妊娠させる“魔法”ではありません。

メリット、デメリット共にあります。

メリット

流産の最大の原因である染色体異常胚を移植せずに済むので

流産率の低下が期待できます。

妊娠率の向上も期待できますので

生児を得るまでの時間を短縮できます。

 

高齢だけどAMHの値が良く

胚盤胞まで多く育つ患者様が

最も恩恵を受けられると考えます。

デメリット

現時点では自由診療のみで許可されています。

混合診療禁止の観点から、PGT-A(着床前診断)をご希望の患者様は、採卵から移植まで全て自費です。

 

胚盤胞を生検する際にダメージが起きる可能性があります。

正常胚でも必ず妊娠するわけではありませんし

流産してしまうこともあります。

 

また、生検している部位が将来赤ちゃんになる部分ではなく

胎盤になる部分であること

検査精度が100%ではないことなどから

擬陽性や偽陰性の可能性もあります。

費用

金額は全て税込み表示です。

PGT-A解析維持費として採卵1周期あたり22,000円

胚盤胞1つごとに生検代22,000円、解析代44,000円

臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング 5,500円

※遺伝カウンセリングは必要な患者様のみです。

対象となる患者様

反復して胚移植不成功の既往のある患者様

ないし

過去に2回以上の流死産がある患者様

※原因として染色体の構造異常を指摘されている場合はPGT-Aの適応にはなりません。

 

学会作成の動画のご案内

PGT-Aを受ける際には、日本産科婦人科学会作成の動画を視聴し、チェックリストのご提出が必須となります。

下記の日本産科婦人科学会様のHPより、どなたでもご視聴可能です。

私も動画を視聴しましたが、とても分かりやすいです。

興味がある方は是非ご覧ください。

動画の視聴とチェックリストのダウンロードはこちら(日本産婦人科学会HP)

気になることはいつでもご質問ください。

自費診療になりますし、ご心配なことも多いかと思います。

いつでも院長にご質問ください。

 

院長 菊池 卓