男性の不妊対策

 

不妊治療をするにあたって男性の不妊対策にはどんなことがあるでしょうか。

 

精索静脈瘤の検査・治療

精巣や精索部で血液の流れが滞ったり、逆流することで静脈が広がっている状態をいい、成人男性の10~20%にみられます。これによって、精巣内の温度が上がることで精子を造る能力が低下し精液所見の悪化や活性酸素が上昇することが言われており、精子のDNA損傷に悪影響を与えるのではないかという報告(1)があります。

 

・禁煙

ご夫婦共に喫煙はやめましょう。

 

精液所見に関する論文(2)をご紹介します。

26の国と地域で29,914名を対象に精液所見と喫煙、飲酒、コーヒー、心理的ストレス、BMI、年齢などを含む6個の要因を対象にメタ解析を行いました。(メタ解析とは、複数の研究結果をまとめてさらに分析することです。)

 

その結果喫煙は精液の質に関わる全ての要因(液量、精子濃度、総精子数、運動率、正常形態率、奇形率)に悪影響を与えたと報告されています。

 

・疲労、ストレスをため込まない

先程の論文(2)で心理的ストレスに関しても検討しており精子濃度、前進運動精子の割合が低下するという結果でした。

 

 

・禁欲期間

こちらも論文(3)をご紹介します。

 

精子濃度2000万/ml(20×10⁶)未満を乏精子症患者、それ以上を正常所見患者として禁欲期間と精液所見の関係を6,008名から9,489検体から調べたところ、禁欲期間が長くなるにつれ正常所見患者では精子濃度、総精子数は高まる傾向にあります。一方、乏精子症患者では精子濃度にはその傾向が見られません。

また、運動率も同様に比較したところ正常所見では8日以上で低下、乏精子症患者では1日が最も良く、徐々に低下する傾向が見られました。

こんな論文(4)もあります。

2011年~2015年に行われた1030周期のARTを対象に禁欲期間によって2つのグループに分けた研究があります。グループⅠは2~7日、グループⅡは7日以上として、生児出産率、着床率、妊娠率を比較しています。

 

生児出産率、妊娠率、着床率3項目とも禁欲期間2~7日のグループⅠの方が有意差をもって良い結果が得られました。また、グループⅠを更に2~4日と5~7日に分けて検討したところ、出産率が2~4日では36.1%、7日以上では24.1%と有意差をもって2~4日の方が良い結果が得られました。

この論文をまとめると

一般的に禁欲期間は2~7日とされていますが、 生児出産率、妊娠率から2~4日が良いでしょう。乏精子症の場合には、日数が経過しても濃度はあまり変化せず、運動率は低下していくため禁欲期間は1日が良いでしょう。

 

精子に熱は大敵です。

長時間のお風呂やサウナは控えた方が良いとされています。同じ理由から下着は熱がこもりにくいトランクスが良いでしょう。

 

・育毛剤(フィナステリド)

育毛剤に含まれるフィナステリドという成分が精子数に悪影響を与えるという報告(5)があります。

 

2008年~2012年に4400名を対象としてそのうち27名(0.6%)がフィナステリドを服用していました。(服用継続期間の中央値 57.4か月  平均投与量 1日1.04mg)

 

服用中と中止後に精液検査を行った14名の結果を比較すると総精子数は平均して11.6倍増加し、特に重度の乏精子症患者に最も変化が見られました。

 

不妊治療中に育毛剤を使用することは医師に相談をした方が良いかもしれません。

 

論文を基に男性の不妊対策をご紹介しました。

 

まとめです

・精索静脈瘤の検査、治療

・禁煙

・ストレスをためない

・禁欲期間を短くする

・長風呂、サウナは控えめに

・下着は熱がこもりにくいもの

・育毛剤は医師と相談する

 

 

(1)Fertility and Sterility Vol. 96, No. 6, December 2011 1283-1287

 

(2) Fertility and Sterility Vol. 95, No. 1, January 2011 116-123

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(3)Fertil Steril. 2005 Jun;83(6):1680-1686

(4)Fertil Steril. 2017 Dec;108(6):988-992

(5)Fertility and Sterility VOL. 100 NO. 6 / DECEMBER 2013 1542-1546

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培養部より