PPOS法とアンタゴニスト法採卵の採卵数と出産率は同じです。
当院では卵巣予備能が低下していない(AMH 1.0ng/mL以上)患者様の採卵は
・PPOS法
・アンタゴニスト法
のどちらかで行っております。
採卵の刺激法~卵胞の大きさは不揃い(バラバラ)でも問題ありません~
でもご紹介しましたが、特に成績は変わりません。
本日ご紹介する論文はPPOS法とアンタゴニスト法を比較した最新の論文です。
Fertil Steri 2021年8月号より
卵子提供における採卵誘発での比較です。
318人の卵子提供者をランダムにPPOS法ないしアンタゴニスト法採卵に振り分け
得られた卵子を提供しています。
結果です。
獲得卵子数 21.4 vs 21.2個、成熟卵子数 16.7 vs 16.9個
有意差は認めませんでした。
胚移植当たりの成績も
臨床妊娠率 64.5 vs 57.8%
流産率 9.2 vs 9.3%
生産率 55.1 vs 48.5%
有意差を認めませんでした。
PPOS法とアンタゴニスト法は
採卵における卵子の獲得数も
獲得した卵子の質も
変わらないことを示しております。
注射が好きな方はいないと思います。
アンタゴニスト法は良い方法ですが
後半部分で注射を1日2本(hMGとアンタゴニスト)打つ必要があります。
そのため患者様から『2本も注射するんですか』と嫌がられてしまいます。
対してPPOS法は注射を2本打つ必要がありません。
ずっと1本のみです。
そのため最近はPPOS法の割合を増やしておりますが
当院でも成績は全く問題なく
とても良い方法だと感じます。
院長 菊池 卓

静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。