AMHが低いと言われたら
AMHの測定の重要さについては、下記の記事でお伝えしました。不妊治療を考えたら、まずはAMHを測りましょう。
私がAMHの結果をお伝えするときに気をつけていることがあります。
それは、「卵巣年齢」という言葉を使わないようにすることです。
「卵巣年齢」という言い方は、卵巣の「質」と「量」の両方を意味しているように聞こえます。
AMHが低かった場合に「卵巣年齢」が悪いと言われると、もう妊娠できないかもという不安感を煽ることになってしまいます。
仮に30歳でAMHが0.9ng/mLと低くても、受精卵ができれば妊娠率は30歳相当です。
体外受精でも受精卵が取れれば移植の成績は年齢相当です。(30歳で有れば、妊娠率は少なくとも50%程度はあります)
決して、卵巣年齢が42~43歳のため、妊娠は厳しいという言い方はしていけないと考えております。
そして、AMHが0に近いようなかなり低い方でも、卵子数は少なくなるですが、決して採卵数が1つになるわけではなく、複数個取れる時もあります。無事妊娠・分娩された方も経験しておりますし、自然妊娠された方もおります。特に若い方であれば諦めずに妊娠にtryする意味はあります。
AMHは有用な検査であり、低い場合には治療のステップを急いだ方が良いのは事実です。
しかし、AMHは卵子の「質」を評価するものではなく、また結果のばらつきもあるため、ご自身の年齢の中央値と比較して過度に悲嘆してはいけません。
院長 菊池 卓
AMHが高いと言われた方は下記の記事を参照ください。
AMHが高すぎるのも良くない
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。