ERAとERpeakの違い。着床の窓の検査も種類があります。

 

着床の窓の検査(子宮内膜着床能検査)とは

「着床の窓」という概念があります。

子宮内膜が胚を受け入れる期間は決まっており

「着床の窓」が開いていないと胚を移植しても着床しないというものです。

 

胚盤胞を移植するときには

排卵日ないし黄体ホルモン投与から5日後が良いとされ、当院でも基本的に5日後に胚盤胞移植を行っております。

 

初期胚の場合は2-3日目に移植しております。

 

近年、反復着床不全の方は

この「着床の窓」がずれているのではと

スペインのグループより提唱されました。

そのずれをみるのが、ERA検査(子宮内膜着床能検査)です。

着床の窓の検査には種類がある

ERA検査が世界中で行われるようになると

他にも様々な着床の窓の検査が開発されました。

 

基本的にはいずれの検査も

黄体期の子宮内膜の生検を行い

遺伝子解析を行いますが

解析する遺伝子の数や種類が違います。

 

下記の論文にてまとめてましたので、ご紹介します。

 

 

下記の6種類の検査があります。

解析遺伝子数、国を書きます。

 

※解析遺伝子数が多ければ良いわけではなく、解析数をあえて少なくすることで、必要な検体量が減る良さがあるようです。(内膜がしっかりとれていないと遺伝子解析ができず、再検査になる可能性があるため)

 

・ERA:238 スペイン

・Win-Test:11 フランス

・rsERT:175 中国

・ERMap:40 スペイン

・ERPeak:48 デンマーク

・beREADY:論文なし エストニア

 

論文での治療成績の比較です。

※いずれも観察研究です。ERAは最後に書きます。

 

Win-Test:11 フランス

対象:217名の反復着床不全の方

生産率が32% (50/157) vs 8% (5/60)と改善。

 

rsERT:175 中国

対象:142名の反復着床不全の方

生産率が43% (24/56) vs 27%(23/86)と改善。

 

ERMap:40 スペイン

対象:2256名の様々な条件の女性

臨床妊娠率が44% vs 23%と改善。

 

ERPeak:48 デンマーク

対象:1000名の反復着床不全の方

生産率が29.9% vs 9.7%と改善。

 

いずれの研究も窓がずれている方(23~64%)が多く

修正で成績の向上を認めたとしているのですが

RCTでは無く、観察研究のみのため

エビデンスは低く、有用性を認められないと結論付けています。

 

ERA:238 スペイン

ERAは最初に開発された検査であるため

数多くの観察研究があります。

その結果は妊娠率を上げるものから

逆に下げるものまで多岐にわたります。

 

観察研究では正確な結論が出ないので

RCTが必要になります。

 

唯一RCTが、それも2つあるのがERAなのですが

1つのRCTでは有用性を示せず

もう1つのRCTはERA検査の販売元が行ったものであり、その分析にも批判があります。

 

筆者らは

着床の窓の検査は

いずれも子宮内膜生検及び遺伝子解析が必要となるため

費用が高い

検査結果が出ない可能性

がという負の側面も大きい検査であること。

 

現在着床の窓を見るための検査は世界中で増加しているが、その有用性を評価する研究はなされておらず

着床の窓の検査で赤ちゃんを授けることをできるという説得力のあるエビデンスはほとんどないことを指摘しております。

 

私の考えです。

 

着床の窓の検査は数多くあり。

いずれもよさそうに見えますが

238と最も多くの遺伝子を解析し

おそらく検体数も最も多いERA検査のRCTで

有意差がないため、他の検査も厳しいかなと感じております。

※ERA検査の販売元の論文はさすがにいろいろと思うこともありますので、個人的には評価に加えておりません。

 

以前も報告しましたが、ERAの有効性を否定する論文は最近増えてきており

ERA検査(着床の窓)を初回胚移植の前に行う意味はないのか?

着床不全の方もERA検査(着床の窓のずれ)は必要ない。

 

他のERpeakなどの検査はどうかなと思いましたが

今回の論文を読む限りでは

まだ当院では導入しない方針にします。

 

ERAもER peakも高価であり、侵襲性も高いです。

だからこそより高い効果とエビデンスが必要と考えますので

現時点ではERAやERpeakを行う時間と費用を採卵や移植に使用した方が良いと考えます。

 

院長 菊池 卓