クロミッドは何周期まで効果があるのか?~タイミング・人工授精で~

 

※今回は全てタイミングないし人工授精についてです。

クロミッドは卵胞を発育させる排卵誘発剤です。

・高い排卵率(しっかり卵胞を育てます)

・飲み薬

・なによりも保険適応であり薬価も安いことから

よく使用されております。

 

ただ、

・子宮内膜が薄くなる

・頸管粘液を少なくするなどの

副作用が出る患者様もおり

その場合は妊娠率が低くなります。

 

また、クロミッドの妊娠率は6周期で頭打ちになるという報告もあることから

時に悪者扱いされ(特に反復投与の場合)

『クロミッドを半年以上使用したが大丈夫なのか』

『薄くなった子宮内膜は元に戻るのか』

などのご質問を患者様より受けます。

 

下記の論文は子宮内膜が7mmあるとクロミッドの治療を6周期以上継続可能であることを報告しております。

 

 

対象はクロミッドによるタイミングないし人工授精を6回行い不成功の女性。

6周期目の子宮内膜が測定できている380名をランダムに

・ゴナドトロピン(毎日注射)群 190名

・クロミッド継続群 190名

に振り分け、6周期の追加治療での出産率を比較しています。

 

結果です。

子宮内膜と生産率に関連を認めており、7mmがカットオフ値でした。

クロミッドを6周期使用して子宮内膜厚が7mm以下に薄くなる方は162名(45%)、薄くならず7mm超の方は218名(55%)。

 

7mmで場合分けして成績を比較しております

まずは7mm以下の場合

 

 

ゴナドトロピンは56%(44/79)、クロミッドは34%(28/83)の方が出産されました。

 

次は7mm越えの場合

 

 

ゴナドトロピンは48%(53/111)、クロミッドは49%(52/107)の方が出産されました。

 

さらに彼らは費用面についても調査しております。

ゴナドトロピンは費用が高額になるのですが

クロミッドからゴナトロピンに変更すると

生児を1人出産するために追加で9,709ユーロ(1ユーロ=約133円)

追加で必要になることを報告しております。

 

上記の結果を踏まえて筆者らは

クロミフェンで6周期うまくいかない場合の

次のアプローチとしては

・子宮内膜7mm以下の場合は成功率の高さからゴナドトロピンに変更

・子宮内膜が7mm超の場合は費用面からクロミッドの継続

を勧めております。

 

他にはクロミッドの投与量と子宮内膜厚には相関が無いこと。

※増量してもそれで子宮内膜がより薄くなるわけではない。

クロミッドで子宮内膜が一時的に薄くなっても、ゴナトロピンに変更すれば問題ないこと。

※副作用を引っ張るわけではない。

を報告しております。

 

私の意見ですが、クロミッドはとても良い薬だと思っています。

クロミッドで排卵があるも、なかなか妊娠されない場合

セキソビット、レトロゾール、ゴナールエフペン(ゴナトロピンのペンタイプ型の自己注射)の選択肢がありますが

※排卵が無い患者様にはドリリング(腹腔鏡下卵巣多孔術)の選択肢も。

 

 

セキソビットは保険適応があるものの、効果が弱く、1日6錠飲むのも大変。

 

 

レトロゾールは基本1日1錠で効果も強いが、現時点では保険適応がないため自費となり高価。

 

 

ゴナールエフペンは効果も強く保険適応もあるが、それでも高価。

針が細いとはいえ、毎日注射が必要。

と一長一短です。

 

クロミッドは利便性に優れ、安価です。

半減期も5~7日であり、翌月以降にまで悪影響は及ばないと考えます。

 

基本的には6周期うまくいかなければステップアップを検討したほうが良いと思いますが

様々な事情でステップアップを希望されない患者様もおられます。

 

そうした患者様の中で内膜が7mm以上あれば

継続して使用していくで良いのではと思います。

 

下記の記事も参照ください。

排卵誘発剤を飲んだら卵胞が3つ育ちました。キャンセルですか?

 

卵胞を育てるお薬② レトロゾール(フェマーラ)

 

院長 菊池 卓