凍結胚移植周期 説明編 ~自然周期 vs ホルモン補充周期~
採卵が終わり、無事胚の凍結が終わると
次はいよいよ胚移植です。
胚(受精卵)を移植をするときには
子宮の状態を整えて
子宮がベストな状態で移植をする必要があります。
子宮の状態を整えるには
ホルモンが必要です。
ホルモンを子宮にしっかりと届けるために
下記のように2種類の方法
・自然排卵周期(レトロゾールの併用も含めて)
・ホルモン補充周期(排卵はさせずに薬のみで整える)
があります。
その違いですが、ざっくりといいますと
・自然周期は自分の体の中から
出てくるホルモンを使います。
自然ないしレトロゾールを内服して卵胞を育てて、
その卵胞に子宮を整えるためのホルモンを
出してもらいます。
自然周期のスケジュールは下記のイラストの通りです。
利点:ホルモン剤の投与が最小限になるので
費用が少なく、薬の煩わしさがりません。
特に妊娠判定後は薬がなくなるので非常に楽です。
欠点:移植日や診察日を患者様の
仕事の都合で決めれません。
全て子宮と卵巣の都合で決まります。
移植日は胚盤胞の場合、排卵後5日後です。
排卵がいつになるかは読めないですし、
排卵がいつ起きたのかを知るために
受診回数が増えます。
また、うまく育たなかったり、
排卵日の推定ができなければ
その周期は移植できません。
次にホルモン補充周期です。
・これは自分の体のホルモンは使わず、
薬(のみ薬や貼り薬、腟に入れる薬など)を使い
子宮にホルモンを届けます。
薬を投与していると卵胞は育たなくなるので、
自分の中からホルモンが出なくなります。
それを利用して薬をいれるタイミングを調節し
移植日を患者様の好きな日に調節します。
利点:移植日を好きに決めれます。
診察日も好きに決めれますので、
all 土曜日もできます。
仕事を休むのが難しい方や
事前にスケジュールを
きれいに立てたい方にお勧めです。
生理不順の方や閉経気味の方でも
問題なく出来ます。
下記の記事もご参照ください
欠点:
ホルモン剤は高価ですし、
妊娠9週まで腟に薬を入れたり
薬を貼ったり、飲むのは大変です。
では、結局のところどちらがいいのでしょうか
当院では
生理周期な順調な比較的若い方で
スケジュールの調節が可能な方には
レトロゾールを併用した自然周期での胚移植を
生理が不規則ないし高齢な方や
仕事が忙しくスケジュール調整が難しい方には
ホルモン補充周期を
勧めております。
理由につきましては次回に続きます。
凍結胚移植周期はどちらがいいのか レトロゾールの良さ
院長 菊池 卓
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。