1PN胚と2PN胚の移植成績の比較
通常の体外受精、顕微授精を行い
“正常な受精”をした場合
卵の中に前核が2つ見えます。
(2PNと呼ばれます)
下のイラストでは
丸く薄いグレーの部分が前核です。
しかし受精の確認をしていると
この前核が1つだけ(1PN)の場合があります。
今回はこの1PN胚に関する論文をご紹介します。
1PN由来の胚と2PN由来の胚を
分割胚、胚盤胞それぞれのステージで
凍結融解移植後の
着床率、流産率、生児出産率、
先天奇形の発現率、運動と言語の発達状態
を調べています。
まず、分割胚では1PN胚は2PN胚と比べると
着床率、妊娠率、生児出産率で
低い結果が得られました。
一方、胚盤胞では1PN胚と2PN胚は
着床率、妊娠率、生児出産率に
差が見られなかった
とのことです。
また、流産率、先天奇形率、
運動と言語の発達状態にも
1PN胚と2PN胚で差は見られませんでした。
以上の論文や
この他にも1PN胚の妊娠例が報告されていることから、
当院でも1PN胚が胚盤胞まで発育し
凍結基準を超えた場合には凍結を行っています。
凍結結果をお伝えする際に
受精の結果も記載しております。
1PNに関して気になることがございましたら
培養外来や移植胚を決める際に
ご相談ください。
培養部より
静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。