凍結胚移植周期はどちらがいいのか レトロゾールの良さ
前回の続きです。
分割胚(初期胚) vs 胚盤胞 ~どちらで凍結するのがいいのか~
当院では
生理周期な順調な比較的若い方で
スケジュールの調節が可能な方には
レトロゾールを併用した自然周期での胚移植を
生理が不規則ないし高齢な方や
仕事が忙しくスケジュール調整が難しい方には
ホルモン補充周期を
勧めております。
理由です。
まず自然周期でなぜレトロゾールを併用するかです。
上記論文は2012年~2013年において
日本における全国のART施設からデータを収集し
約11万周期という大きなデーターを集めた論文です。
レトロゾール周期 vs 自然周期
vs ホルモン補充周期を比較
妊娠率
61.3% vs 36.4% vs 33.0%
胎児心拍陽性率
51.3% vs 26.4% vs 23.3%
レトロゾール周期が有意に
妊娠率および胎児心拍率が高かったです。
自然周期においてレトロゾールを追加することの
デメリットがあまりないため、追加しています。
やはり黄体ホルモンの値が高く出ますし、
黄体ホルモンは免疫の面からも着床に良い働きを
しますので、ぜひ高くしたいです。
黄体ホルモンを高くするには、
内服や注射をする必要がありますが
手間もかかります。
自分の体から自然に高く出てくれれば
それが一番楽ですので
レトロゾールで卵胞を大きく育てて
黄体ホルモンをしっかり出すようにしております。
では、ホルモン補充はレトロゾール周期より
本当に成績は劣るのでしょうか
この論文からすると、
レトロゾール一択しかないように見えます。
次に続きます。
レトロゾール周期とホルモン補充の成績は同等です。
院長 菊池 卓
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。