レトロゾール周期とホルモン補充の成績は同等です。

前回からの続きです。

凍結胚移植周期はどちらがいいのか レトロゾールの良さ

 

ホルモン補充はレトロゾール併用周期に

負けるのでしょうか

結論からいいますと、そんなことはないと

考えております。

 

この論文のインパクトはとても強く

以前勤務していたクリニックでも

この論文の結果を受けて

レトロゾール併用周期を増やしましたが

結果的にはレトロゾール周期 vs ホルモン補充の

成績は変わりませんでした。

 

 

 

こちらが今年(2020年)の8月の論文ですが

レトロゾール周期 vs 自然周期(hMG含む)

 vs ホルモン補充周期を

比較した論文10編の結果をまとめたものですが

結果として成績は変わりませんでした。

 

現在開催されている受精着床学会でも

自然周期とホルモン補充周期で

妊娠率に差を認めないとする報告は

複数認めております。

 

いずれの論文や報告も後ろ向き研究や観察研究で有り大規模なRCT待ちではありますが

現状ではレトロゾールもホルモン補充も

成績は変わらないと考えております。

 

ホルモン補充のメリットとして

・高齢の方でもできる

FSHが高い方ですと、レトロゾールを飲んでも

卵胞が発育しないため計画ができません。

また、排卵しても黄体ホルモンの値が

高くならない方もおられます。

 

・PCOSの方でもできる

PCOSでも重度の方ですと、

レトロゾールを飲んでも発育がありません。

内服量を増やしたり、FSHの注射を打つのですが

結局育たずホルモン補充になることもあります。

 

・仕事の忙しい方でもできる

診察日、移植日を完全に

患者様の都合に合わせられます。

やはり開業して思うのは、皆様お忙しいです。

私が女性で総合病院の産婦人科勤務時代に

レトロゾール自然周期の移植をするとしたら

絶対に出来ないと思います。

 

相性もありますし、1回目がうまくいかなければ

違う方法で行うのが望ましいと思います。

 

最初の1回に関しては

 

生理周期な順調な比較的若い方で

スケジュールの調節が可能な方には

レトロゾールを併用した自然周期での胚移植を

*レトロゾールはコストが安く、

内服期間も短いです。

 

生理が不規則ないし高齢な方や

仕事が忙しくスケジュール調整が難しい方には

ホルモン補充周期を

で行って行くのが良いと思います。

 

いつでもご相談ください。

貴重な受精卵を子宮に戻すのです。

悔いの無い選択をしていただきたいですし、

気になる点がありましたら

何点でもご質問下さい。

 

院長 菊池 卓