着床障害を改善するために (G-CSF、GM-CSFについて) ~海外の報告~
前回着床障害を改善するために (G-CSF、GM-CSFについて) ~日本の報告~について紹介しました。
G-CSF、GM-CSFとは何かは上記のリンクを参照ください。
今回は海外の論文を紹介します。
胚移植周期にG-CSFの子宮内注入を行った
11論文683人を対象にしたメタアナリシスです。
*メタアナリシスとは複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析することです。
結果です。
・子宮内膜の厚さが1.79倍に改善
・臨床妊娠率が2.52倍に改善
・着床率が2.35倍に改善
・移植のキャンセル率が0.38倍に改善
*子宮内膜は薄いとその周期の移植がキャンセルになります
とG-CSFの子宮内注入が有用であると報告しております。
他にも投与時期
・hCG製剤投与日、胚移植の1時間前、採卵直後などが
報告されていますが、投与時期による影響は指摘されていません。
冒頭の日本の報告でも胚移植時の投与で妊娠率の上昇を認めております。
当院では
・胚移植時の投与
・胚移植2-3日前投与を行っております。
移植時のみもありますし、子宮内膜が薄い方には2回行うこともあります。
・投与量
100~300μgが投与量として報告されておりますが、
300μgとする報告が多いです。
当院でも300μgの投与を行っております。
・投与方法
過去の報告では皮下注射での報告もありましたが
近年の報告ではほぼ子宮内投与です。
当院でも子宮内に投与を行っております。
G-CSF(GM-CSF)は
『子宮内環境を改善させ、着床できるように子宮内膜を変化させる』
させている可能性があります。
とても良い方法だと思いますので
ご希望の方はお伝えください。
院長 菊池 卓
静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。