胚移植について 経腟の方が経腹よりも不快感が少ない

胚移植をする時にはエコー(超音波)を使いますが、

・『経腹』 お腹からエコーを当てる方法と

・『経腟  腟からエコーを当てる方法があります。

 

実際に超音波をしている画像

経腹プローベ

経腟プローベ

経腟はイラストです。

 

お腹は腟と比べると、脂肪や筋肉が多くあります。

脂肪や筋肉があると画像がきれいに見えないため、

内診の時などは通常経腟エコーを用います。

 

当院は全例『経腟エコーガイド下』に胚移植をしておりますが

経腹と経腟のどちらで行うかは、

クリニックによって違ってきます。

下記の論文は経腟と経腹エコーを比較したものです。

 

40歳未満の120目にの胚移植予定の方を

経腟(Transvaginal)群60人と

経腹群(Transabdominal)群で比較

 

評価ポイントは

・疼痛

・不快感

・エコー画像の見やすさなど

1-10点までのスコアを作成し、胚移植前後に評価

 

・妊娠率

・生産率も評価しております。

 

結論です。

経腟の方が経腹よりも

疼痛や不快感も少なく

エコーでの子宮の画像もよく見える

でした。

また有意差はでなかったものの

・臨床妊娠率 36.7% vs 30.0%

・生産率  31.6% vs 25.0%

と経腟が高かったです。

 

経腹エコーですと膀胱に尿がたくさん貯まっていないと

子宮がうまく見えません。

そのため、排尿を我慢する必要があり

不快感が増したと考えます。

 

またエコー画像の見やすさについても

・子宮が後屈

・肥満の方は

経腹ですと子宮までの位置が遠くなるため

子宮の画像が見えにくくなります。

*この論文でも『子宮後屈』『肥満』の方には

特に経腟エコーを勧めています。

腟に脂肪はつきにくいので、経腟の場合は

肥満の有無は関係ないです。

 

当院では患者様が安心・納得した治療を行うには

『治療の見える化』が必要と考えております。

特に胚移植はとても重要な手技であり、

成長した胚がしっかりと子宮に戻る様子を

見ていただくことは

患者様の不安を取り除くことにつながります。

培養士の『見える化』についてはこちらの記事を参照ください。

 

これからも当院では患者様全員に

『経腟エコー下での胚移植』を行い

より良い妊娠率、見える化を目指していきます。

 

院長 菊池 卓

 

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