不育症・着床障害の方への低容量アスピリン(バイアスピリン)はいつから開始するか?
不育症・着床障害の方への低容量アスピリン(バイアスピリン)はいつから開始するか?
生理後から?胚移植後から?判定日から?施設によって違います。
最初に結論から言いますと
当院は胚移植2-3日後から投与を開始です。
流産が続く不育症の方に
近年は着床障害のある方にも
血が固まりやすい性質がないか検査を行うときがあります。
その性質があると血栓ができやすくなり
胎盤(絨毛)の血管を詰まらせて流産を引き起こします。
腕の血管などは太く、流れも速いので詰まらないのですが
胎盤(絨毛)の血管は細く、流れがゆっくりのため
詰まりやすいです。
対処法としては
低容量アスピリン(当院ではバイアスピリン)の内服です。
昔は頭痛にバファリンのバファリンに痛み止めとして含まれていました。
血をさらさらにする効果もあるため
心筋梗塞や脳梗塞にも使われていますが
不育症の方にも使用しています。
ただこのバイアスピリンをいつから使うのか
クリニックによりかなり違いがあり
しばしば論争になります。
バイアスピリンには
・血をさらさらにする
・炎症をとる作用(痛みをとる)があります。
胚が子宮に着床する際には炎症反応が必要と考えれているため
胚移植後やもっと後の判定日後からのほうが良いという考えもあれば
バイアスピリンの炎症をとる作用は
胚移植には関係が無いため
生理後ぐらいからしっかり投与した方が良いという考えもあります。
どうしたら良いか悩ましい問題でした。
今回の受精着床学会で加藤レディース様が
低容量アスピリン(バイアスピリン)の開始時期について
ご報告されていたのでご紹介します。
PGT-Aを行った正常胚の単一胚移植による検討です。
低容量アスピリンの開始を
・増殖期(生理後)から開始
・胚移植後開始
で出産ないし卒業された方の割合を比較検討しています。
反復着床不全+反復流産 87例
43.5% vs 70.3%
反復流産のみ 51例
33.3% vs 71.8%
胚移植後から開始の方が有意に成績が良いと報告されています。
ご発表された先生はまだ症例数が少ないので
はっきりとした事は言えませんがと言われていましたが
個人的にはかなり差があると感じました。
元々胚移植後ないし判定日から投与派だったので安心しました。
現在は間を取って胚移植2日後より開始にしています。
※初期胚の時はもう少し遅いです。
ただ、早めに投与をされてうまくいった方もおられると思います。
そうした患者様の場合にはそのほうがうまくいく場合もありますので
ご相談させてください。
院長 菊池 卓

静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。