なぜ、高齢になると妊娠しにくくなるのか?

「子宮」「卵巣(卵子)」 どちらもも妊娠において重要な因子です。

ただ、子宮は年齢の影響を受けにくく、卵巣は年齢の影響を非常によく受けます。

 

下記のグラフはアメリカにおける卵子提供のデータです。

自身の卵子では、35歳以降急激に生産率が減っていくのに対し、ドナー卵子では何歳になっても生産率が変わらないことを示しています。

 

 

年齢が上昇するに従い、子宮内膜症や子宮筋腫などの子宮因子による妊娠率の低下も起こるはずではあるのですが、このデータからは高齢になると妊娠しにくい原因が「加齢に伴う卵の質の低下」であることを示しています。

この加齢に伴う卵の質の低下にあらがうために、メラトニンなどの抗酸化サプリを内服してもらい、ある程度の効果はでるのですが、難しい方がいるのも事実です。

 

また高齢になると流産率も上昇します。

流産になるとなかなか次の採卵や移植に移れません。

そのため、体外受精施設実施施設において「貯卵」といってある程度の数まで受精卵を凍結することもするのですが、あくまで現状維持であり、受精卵を若くすることはできません。

 

できるだけ早期の治療を行っていきましょう。

年齢と妊娠の関係は、下記の記事もご参照ください。

胚盤胞まで育っても、染色体異常はありますか?

 

*卵子提供は現時点で日本産科婦人科学会が認めない立場を取られており、学会員である当院も行いません。

*また、高齢妊娠は周産期合併症が増加するため、できるだけ早い妊娠・出産が望ましいです。

 

院長  菊池 卓

 

 

 

 

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