胚盤胞まで育っても、染色体異常はありますか?
今回は胚盤胞についてです。
胚移植あたりの妊娠率を高めるために、胚盤胞まで体外環境で育てることが一般的になっており、私も勧めております。
採卵→受精→初期胚→胚盤胞と段階を経て進んでいきますが、全ての卵子が胚盤胞に到達できるわけではありません。
そして、胚盤胞に育ったとしても、全てが染色体正常ではなく異常になるものも混じってきます。
では、どれくらいの割合で異常になる割合が出てくるのでしょうか?
下記の論文は、2701組 3392周期 15169個の胚盤胞の生検を行い染色体検査を行ったものです。(移植予定の胚盤胞の染色体検査は、日本ではまだ臨床研究の段階。)
数的正常:9001(59.3%) 数的異常:6168(40.7%)
この図表は、上記の論文からです。
年齢別に胚盤胞の染色体数が異常になる確率を表したものです。
縦軸が数的異常(Aneuploid)のある割合(%表記です)、横軸が年齢です。
35歳を超えるあたりから異常の割合が増え始め、40歳になると50%を超えています。
基本的には年齢が上昇するにつれて異常の割合は増えますが、20代の若い方でも少なくとも20%は染色体異常がありうることをご理解ください。
胚盤胞の移植をしても全て妊娠するわけではないのです。
院長 菊池 卓
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。