クロミッドで採卵をしても凍結胚移植の妊娠率は下がらない
クロミッドは卵胞を育てる良い薬です。
ただ、一部の方の子宮内膜を一時的に薄くさせる副作用があります。
内膜が薄くなることが永続的に続くわけでは無いのですが
不安を感じる方も多いと思います。
前回一般不妊治療における
クロミッドの子宮内膜への影響を調べた論文では
・クロミッド6周期で子宮内膜厚が7mm以下に薄くなる割合は45%
・クロミッドで子宮内膜が一時的に薄くなっても、注射に変更すれば問題ない。
※副作用を引っ張るわけではない。
上記のことが報告されており
クロミッドは1日1回の内服で費用も安いので
・内膜が薄くならない方はクロミッドの継続を推奨しています。
詳細は下記の記事を参照ください。
セキソビット、クロミッド、レトロゾールの妊娠率、副作用、飲み方の違い
では体外受精ではどうでしょうか
今回ご紹介する論文は凍結胚移植前のクロミッドの有無での
妊娠率を比較しております。
対象は胚移植の少なくとも90日以内にクロミッドを使用した593名
全例PGT-Aの正常胚をホルモン補充で移植
妊娠率、妊娠継続率、流産率などを比較しております。
結果です。
クロミッドの内服の既往は妊娠率、妊娠継続率、流産率にも影響を与えませんでした。
※子宮内膜の厚さも有意差ありません。
またサブグループ解析で
・クロミッド内服の累積周期数
・クロミッド内服から移植までの日数
を比較しております。
累積週数が多いほど、日数が短いほど成績は悪そうですが
共に妊娠率、妊娠継続率、流産率にも影響を与えませんでした。
私の考えです。
時折批判されるクロミッドですが。
一部の患者様に内服しているときのみ
子宮内膜を薄くさせて妊娠率を下げる時もありますが
・子宮内膜が薄くならない方
・内服していない周期
のどちらかであれば問題ないと考えます。
排卵させる力はしっかりとあり
1日1回の内服で安いです。
適切な使い方であっている患者様に使えば
とても良い薬です。
これからもクロミッドは
適切にしっかりと使用していきます。
院長 菊池 卓
静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。