レトロゾールの使い方 採卵と胚移植では
レトロゾールの記事が好評です。
卵胞を育てるお薬② レトロゾール(フェマーラ)
レトロゾールは比較的新しい薬であり
体外受精の様々なところで活躍します。
当院では体外受精の際には下記の方法で使用しています。
①体外受精の排卵誘発
②卵巣過剰刺激症候群(OHSS)予防
③胚移植(自然周期の補助)
今回は要点のみとし、詳細は別記事で書きます。
①体外受精の排卵誘発
高齢の方や低AMHの方の卵巣刺激に有効です。
一過性に卵胞内のアンドロゲンの濃度を上げ
卵胞のFSHに対する感受性を上げます。
hMGやFSHの注射を効きやすくさせると思ってください。
当院ではAMHが低かったり、FSHが高くて
なかなか卵胞が発育してくれない方に
内服していただいております。
*あまりにFSHが高い場合には
先にエストロゲンの補充でFSHを下げることも行います。
クロミッドとの使い分けですが
レトロゾールは排卵抑制効果がありません。
アンタゴニスト法でしっかりと刺激をする際には
排卵抑制効果のあるクロミッドの方が良いと考えます。
そのため、
卵子がある程度残っている方~たくさんある方
→クロミッド+hMG/FSH製剤
卵子があまりない方・新鮮胚移植をしたい方
→レトロゾール+hMG/FSH製剤±エストロゲン
のように使い分けております。
①の参照文献
②卵巣過剰刺激症候群(OHSS)予防
卵胞が沢山出来ると、エストロゲンが上昇し
お腹にお水が貯まったり、血栓ができやすくなります。
*時に入院や緊急手術になる怖い病気です。
採卵数を増やしたり、成熟率をあげるために
hMG/FSHやhCGの注射を打つのですが
その注射で起きやすくなります。
採卵は健康な方におこなうものです。
なので、副作用は極力でないようにしなければなりません。
しかし、安全性を強調するあまりに
hMG/FSHやhCGの注射をまったくせずに
採卵数や成熟率が減ってしまうのも避けたいです。
患者様は妊娠するために来ているのですから。
そのため当院ではしっかりと注射をし
採卵後にOHSS対策として
・バイアスピリンの投与
・カベルゴリンの投与など
をおこなっているのですが、
加えてレトロゾールの投与を行っています。
エストロゲンの濃度を低下させ、
お腹にお水が貯まることの予防をします。
エストロゲンの値がとても高い方(1万超えなど)は
採卵前にもレトロゾールの投与をすることがあります。
②の参考文献
③胚移植(自然周期の補助)
レトロゾールを内服すると自然周期での移植と比較して
黄体機能が良くなることが報告されています。
また、日本での11万周期からの報告でも
凍結融解胚移植の自然周期において
レトロゾールを併用すると
・妊娠率が高くなり
・流産率が低くなることが
報告されております。
そのため当院では
自然周期の凍結融解胚移植において
レトロゾールを併用するようにしております。
使用している印象としましては
卵胞径も大きくなりますし
子宮内膜も厚くなります。
胚移植日のPの値もしっかりと高くなり
安心して胚移植に望めるため
とても気に入っております。
③の参考文献です。
レトロゾールは適応外使用で自費ではありますが
目立った副作用もなく、良い薬だと思います。
今後も積極的に使用していきます。
院長 菊池 卓
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。