流産になっても、次の妊娠をあきらめないでください。②

からの続きです。

『不育症の原因解明、予防治療に関する研究』研究班からの不育症管理に関する提言2019

を参考にさせていただき、私の検査・治療方針を説明します。

 

まずは行うべき検査です。

①問診

年齢→35歳以上になると流産率が増加し、40歳以上になると流産率が40~50%と増加します。

 

流産回数→流産回数が増えると流産率が増えます。

 

身長・体重・BMI→女性の肥満は流産率の増加につながり、妊娠中の合併症の増加にもつながるので、過度の体重増加に注意しましょう。

 

喫煙、アルコール→妊娠中は両方ともやめましょう。

喫煙は血管を傷つけ流産率を上昇させます。

特に胎児とお母さんを結ぶ絨毛(胎盤になる前の組織)の血管は細いので影響は大きいです。

アルコールは胎児への影響もあり、過度のアルコールは流産を増加させる報告もあるためきっぱり止めるようにしましょう。

 

カフェイン→明確に何杯までなら大丈夫というものはないのですが、胎児の心拍数を増加させる作用などもあることから過度のカフェイン(コーヒー3杯以上)は控えた方が良いです。

最近はカフェインレスのコーヒーもよく見かけるようになりました。

 

②子宮形態異常

子宮の形の異常は不育症のかたで多く見られ、特に中隔子宮が流産と関係が深いです。

超音波や子宮卵管造影、子宮鏡、MRIなど診断できます。

(当院ないし協力病院で全て行えます)

子宮奇形があっても妊娠・出産される方はおりますが、流産が続く場合には総合病院での手術を勧めさせていただきます。

信頼している先生にご紹介させていただきます。

 

 

③甲状腺機能異常

採血で見つけることができます。

明らかな甲状腺機能の低下は流産と関係しています。

治療としては、甲状腺薬の内服(レボチロキシン)です。

レボチロキシンは特に胎児に問題ありません。

 

*以前はPCOSや高プロラクチン血症も関係があるとされ、測定されていました。

しかし、不育症との関連がないとされ、測定は勧めないとなりました。

 

④抗リン脂質抗体検査

免疫異常によって自己を攻撃する抗体抗リン脂質抗体ができると、血栓ができやすくなります。

胎児への血流が悪くなり、流産を引き起こします。

検査は採血でわかります。

治療としては血をサラサラにする低容量アスピリンやヘパリンの注射を行っていきます。

 

⑤夫婦の染色体異常

ご夫婦の染色体の構造の異常により、夫ないし妻には問題ないものの精子ないし卵子には異常が出ることがあります。

採血で簡単に調べられるのですが、ご夫婦のどちらかに染色体の構造異常があることを特定することがご夫婦の未来にとって有益かというと悩ましいです。

事前に十分にご相談させていただいてから、行わせてください。

 

推奨スクリーニング(検査)として勧められているのは以上です。

流産になっても、次の妊娠をあきらめないでください。③に続きます。