フーナー(ヒューナー)テスト 不良(ゼロ)の原因は?

 

フーナー(ヒューナー)テストとは

不妊治療の検査の1つで

排卵前に性交渉をしてもらい

頸管粘液に運動精子がいるかどうかを見る検査です。

 

動いている精子がゼロです。

フーナー不良ですと告げられ

驚き、傷ついている方もおられると思います。

フーナーが不良(運動精子ゼロ)になる理由は?

元々、女性は腟とお腹がつながっています。

お腹に雑菌が入らないように、膣の中は常在菌によって酸性になっています。

精子も女性からみれば雑菌と同じ異物ですので、酸により排除されてしまいます。

ただ、このままでは妊娠できません。

 

 

妊娠するために女性は、卵胞が大きくなるとアルカリ性のおりもの(透明ののびるおりもの)を出します。

すると、酸が中和されて精子が子宮内に侵入できるというメカニズムです。

 

 

そのため、卵胞が発育していない時期にフーナーを行っても不良になってしまいます。

 

その他にも不良となる原因として

①精子数が少ない、ないしはゼロ

②頸管粘液内に抗精子抗体がある

③性交渉から検査をするまでの時間が長い(14時間以上)

④そもそも射精ができていない

⑤膣内に炎症があるなどがありますが

不良になる原因としては検査時期のずれによるものが最も多いです。

 

フーナーテストは卵胞が大きくなりかつ排卵する前に性交渉をして

9~14時間以内に検査をしなければなりません。

仕事をされている中これは難しいです。

 

そして不良の場合は再検査をするのですが

再検査も難しいです。

仕事で忙しい中短いスパンに何回も性交渉+通院というのは困難です。

フーナーテスト 0匹の場合 妊娠するのか?

妊娠する可能性はあります。フーナーテスト 0匹でも卵管に精子が到達できている可能性があるためです。

 

下記の論文は

フーナー不良の方の性交後に腹腔内を調べると

高い頻度で精子を認めるとする報告です。

 

 

フーナーで運動精子がゼロの患者8人の内6人に腹腔内に精子が認められました。

 

腹腔内にあるということは子宮と卵管を精子が通過しています。

フーナー不良=精子が子宮の中に入れないではありません。

 

フーナー不良と判定されたその月に自然妊娠された方もいますし

その月以降であればそれほど数え切れないほどいらっしゃいます。

 

もともとこの記事を書こうと思ったのは

フーナー不良という言葉に多くの患者様が傷ついているからです。

人間誰しも自分の検査結果が不良などと言われると傷つきます。

 

このフーナーに関しては

『精子(夫)と子宮頸管粘液(妻)』との相性が悪いという表現が使われることも多く

まるで夫婦の相性が悪いようにも聞こえてしまいます。

 

深田恭子さんが主演されたドラマ『隣の家族は青く見える』で

フーナー不良で妊娠した妻が夫に浮気を疑われるシーンが出てきますが

フーナーはそんな強い検査ではありません。

フーナー(ヒューナー)テストは意味がないのか

ご主人が非協力的で検査をしてくれない場合に、精液検査の代わりとしての意味はあると思います。

 

また、排卵日が順調で性交渉も頻繁にとれ、クリニックにいつでも来れる場合にも行っても良いとは思います。

 

しかし、結果で誤解を招くことも多く

精液検査の方が運動率や濃度なども正確にわかります。

そのため当院ではフーナーテストは推奨しておりません。

 

他に聞かれるものとしてクルーガーテストがあります。

下記の記事を参照ください。

クルーガーテストで精子奇形率が高くても人工授精の妊娠率は変わらない。

 

院長 菊池 卓