胚盤胞移植を行う方へ ~透明帯除去(AHA)~

移植を行う患者さまに透明帯除去(AHA)の施行をおすすめしております。

 

透明帯とは卵を守る役割を持つ殻のことを言います。“卵を守る”とは、物理的な衝撃から守ることや多精子受精を防ぐために精子が2匹以上入らないようにする機能などをいいます。

 

卵子が受精し、胚盤胞に育つまで卵を守る透明帯ですが、着床する際には胚盤胞が大きく発育し、透明帯を薄く引き伸ばすことでできた切れ目の部分から透明帯の外に完全に脱出し着床へと向かっていきます。

 

この透明帯からの脱出を補助するのが透明帯除去法(AHA)です。胚は凍結や加齢などの様々な要因で透明帯が硬くなると考えられていることから、胚が着床しやすくするための技術です。

 

当院ではレーザーを透明帯にあて、透明帯の一部(1/3~半分)を除去した状態で移植を行っております。最近の学会で、完全に脱出させた胚と一部にAHAを行った胚の移植成績を比較した発表では成績に差がなかったとの結果があったことから、当院でも一部除去としています。

 

実際に培養士が行う操作としては、融解時、胚が一時的に縮まるタイミングで胚に当たらない安全な箇所にレーザーをあてます。透明帯に切れめを作るため、胚盤胞はAHA後数時間で徐々に外に出ていきます。

 

患者さまには移植の前に、移植胚の融解直後、AHA後、1~2時間後のチェック時、移植直前の様子を写真でご確認いただいております。AHAに関してご質問がございましたら、診察時や移植直前のお話の際に気軽におたずねください。

 

培養部より

—–