不妊治療の前に子宮筋腫は手術したほうがいいですか?

子宮筋腫は子宮の筋肉にできる良性のこぶです。

不妊治療をされる年代の女性の20-30%に認められます。

婦人科の疾患では最も多く、診療をしていてもよく見かけます。

症状が無い方も多いです。

 

子宮筋腫は下記のイラストのように、出来る部位により4つに分かれます。

 

できれば皆様手術はしたくないと思います。

ただ、なかなか妊娠されないときには考慮する必要があります。

 

当院で手術を検討する部位と大きさです。

 

②粘膜下粘膜下子宮筋腫

最も着床・妊娠に関係します。

切除したほうが良いとする論文も多くあり、積極的に手術を勧めます。

大きさにもよりますが手術も子宮鏡のみで終わることもあり、その場合はお腹を切る必要はありません。

 

①漿膜下筋腫

こちらは逆に着床・妊娠と関係がないことが多く、基本的には経過観察です。

しかし、5~6cm以上の大きさがあると、妊娠中に変性や切迫早産を引き起こす可能性があるため手術を考慮します。

変性を起こすと熱や痛みがでてかなりつらいです。

入院しても治らず、そのまま早産になった方も経験しています。

 

一番悩ましいのが、最も高頻度にある筋層内子宮筋腫です。

③子宮内腔を圧迫するもの

④圧迫しないもの

にさらに分類されます。

 

③の子宮内腔を圧迫する場合には、手術を考慮します。

粘膜下子宮筋腫と同じく、手術をしたほうが妊娠率は改善するとされています。

ただ、筋層内の子宮筋腫の手術をした場合には、妊娠中の子宮破裂の可能性を減らすため3~6ヶ月の避妊期間が必要になります。

また、分娩方法は子宮破裂を避けるため帝王切開です。

 

④の圧迫しないものについては、以前まではあまり手術は勧められていませんでした。

ただ近年子宮筋腫が筋層内にあるだけで、子宮内膜の異常な蠕動運動や着床因子に悪影響を及ぼす可能性が指摘されております。

漿膜下子宮筋腫のところでも述べましたが、5~6cmを超えると妊娠中のトラブルを引き起こす可能性も上がります。

なかなか妊娠されない患者様で5~6cmを超えるものに関しては手術を考慮します。

ただ、手術をすれば妊娠率が劇的に改善するというエビデンスは現時点ではありません。

 

子宮筋腫を妊娠前に手術するかどうかは本当に悩ましいです。

特に一番多い筋層内は。

何もしなければ、不妊、流産、早産を引き起こす可能性があり

手術をすれば、手術による侵襲、長期間の避妊、子宮破裂の可能性があります。

 

患者様の治療歴、筋腫の部位や大きさで考えていくしかないと思います。

 

院長 菊池 卓

下記は参考文献です。

 

 

産婦人科診療ガイドライン

婦人科外来編 2020

 

 

 

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