反復着床不全をどう克服するか?~学会に参加しました~
昨日より第65回日本生殖医学会学術講演会が
webで行われています。
良好胚を移植してもなかなか妊娠されない
着床不全への対策について
拝聴してきました。
気になる報告をまとめてみました
(題名、施設名は少し省略しています)
・慢性子宮内膜炎(CE)に対するプロゲステロン腟座薬併用の効果
滋賀医大 木村 文則先生
CEは不妊の原因になるだけでなく
流産や早産の原因にもなりうる。
CEは子宮内膜のプロゲステロンの反応を
阻害するため、プロゲステロンの増加
(経口に加えて腟剤)により
妊娠率の増加および流産率の減少を
引き起こすというものでした。
CEの方で抗生剤を内服しても
改善しない方もおられます。
そうした方に別な治療法として
プロゲステロンの増量の選択肢を
提示されておりました。
→当院もプロゲステロンは
腟錠と経口を併用しておりますので
このまま継続していくつもりです。
・子宮内フローラとERA
京野アート 橋本 朋子先生
橋本先生とは以前一緒に働かせていただいたことがあります。
とても尊敬できる先生で、本日の講演も楽しみにしておりました。
CEは組織診でCD138の有無を調べますが、
CD138と子宮内フローラは一致しない、
また子宮内フローラは悪くても妊娠される方も
おられることを報告されていました。
子宮内フローラ異常があれば、
・適切な抗生剤の投与
・ラクトバシラス腟錠の投与を
行うとのことでした。
またERA検査の有用性も報告されております。
→ERA検査は高額で時間もかかるため
まだ余り勧めていませんが、もう少し勧めてもいいのかと思いました。
子宮内フローラはこのまま勧めていきます。
・子宮内膜の薄い方に対するG-CSF子宮内投与の有効性
埼玉医大 高村 将司先生
子宮内膜が薄い方への子宮内へのG-CSF投与は
報告されており、以前記事にもさせていただきました。
今回のご発表では
・子宮内膜は薄くない反復着床不全のかたにも有用であること
・皮下投与でも有用であること
をご報告されておりました。
→当院でも内膜の厚さにかかわらず投与を行っておりますが
皮下投与に非常に興味を覚えました。
子宮内投与はやはり大変ですので
できればより簡便な皮下投与を行いたいです。
まとまりの無い感想になってしまいましたが
ご質問がありましたらいつでも診察の際に
お聞き下さい。
今後も積極的に最新の知見を吸収できるよう
努力していきます。
院長 菊池 卓
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。