子宮内フローラが改善すると妊娠率が上がる ~日本での報告~
前回の記事では体外受精の方は
子宮内フローラの乱れが
多いことをご紹介しました。
体外受精の方の子宮内フローラ(細菌叢)は乱れている事が多い
今回ご紹介するのは
子宮内フローラを改善し
胚移植の成績が改善した
報告です。
北海道にある
神谷レディースクリニック様の
ご報告です。
43際未満の3回以上良好胚を移植しても妊娠されない
反復着床不全の方129名を対象にしております。
・検査して治療をした群 93名
・検査しない群 36名
の比較です。
結果です。
*胚の優劣の影響を避けるために2回の胚移植当たりの成績です。
着床率 72.4% vs 36.1%
継続妊娠率 50.7% vs 27.8%
有意差を持って
検査をして治療をした群の
成績が良かったです。
子宮内フローラの検査は
細菌のRNAを網羅的に解析するという
手間暇のかかるものであるため
時間がかかり、費用もかかります。
従来の腟内の細菌培養検査ですと
保険適応ですし、結果が出る時間も
短いです。
ただし、子宮内は腟と比べて細菌の数が少ないため
従来の細菌培養ですと
20~60%の細菌が検出できないことも
報告されております。
時間的・費用的負担の観点から
患者様にそこまで強く
子宮内フローラの検査を
推奨してきませんでしたが
先日の学会でも成績が向上したという報告を
他の施設からも多く認めてもいることから
これからはもっと積極的に
推奨していきます。
子宮内フローラのイメージは
こちらを参照下さい。
慢性子宮内膜炎、子宮内フローラの当院の治療 ~抗生剤はピンポイントで~
院長 菊池 卓
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。