受精率が低い方へ メラトニン
今回は当院で扱っているサプリメントから
メラトニンのご紹介です。
メラトニンとは脳の松果体から分泌される
ホルモンで日内リズムや睡眠に関連します。
分泌量は日内変動があり
日中少なく、夜間多くなります。
ただし、夜間であっても
強い光(スマホの明かりなど)の刺激を受けると
分泌量が少なくなります。
また、分泌量は10歳ごろがピークで
その後、加齢に伴い減少します。
そんなメラトニンが
どうして不妊治療のサプリメントに
選ばれるのでしょうか。
受精や胚の発育に
マイナスの影響を与える因子の1つに
酸化ストレスが挙げられます。
酸化ストレスとは
活性酸素と抗酸化作用のバランスが
活性酸素に偏った状態を指します。
まず活性酸素とは
体内に取り入れた
酸素の一部が変換されたもので、
加齢やストレス、喫煙、不規則な生活等で増加し
多くなりすぎると卵子への影響だけでなく
様々な疾患をもたらす要因となります。
そしてこの活性酸素を抑制するのが
抗酸化作用です。
メラトニンはこの抗酸化作用も持っており、
ビタミンCやEの2.5倍以上と
強い抗酸化力を有しています。
卵胞液中で働くことで
卵子への酸化ストレスを軽減すると考えられます。
実際に体外受精を行っている方の
卵胞液に対するメラトニンの効果を
検討した報告があります。
採卵前周期の月経5日目から採卵前日まで
メラトニンを摂取したところ
卵胞液中の酸化ストレスの指標となる濃度が
投与前と比べて有意差をもって減少しました。
受精率や妊娠率を検討した報告もあります。
体外受精の受精率が50%未満だった方を
メラトニン投与群と非投与群にわけ比較したところ
投与群では、前周期と比べて
受精率が有意に改善しました。
(妊娠率は有意差はなかったものの、
投与群:19.6% 非投与群:10.2%
投与群の方が高い結果が得られました。)
服用方法ですが1日3mgを
夜10時頃または就寝前となります。
眠くなる作用があるため服用後の
車の運転や機械の操作はご遠慮ください。
ご希望の方は院長にご相談ください。
他にDHEAも卵子数の増加が報告されております。
卵が育ちにくい方、少ない方へ DHEA
培養室より
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静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。