胚盤胞のグレードが悪いと出産に関係するのか?
グレード4BCの胚盤胞を移植して
卒業された患者様より
「妊娠したことは嬉しいのですが、グレードの悪い胚盤胞だと赤ちゃんの発育が心配です。」
とご質問を受けました。
今回ご紹介するのは
胚盤胞のグレードと
産科転帰(早産や出生時身長・体重など)
の関係を調べた論文です。
※性別についても調べていますが、今回は触れません。
対象は単一胚盤胞移植で妊娠、出産された4,842人の女性。
16の施設からのデータをまとめ、
胚盤胞グレードと産科転帰を検討しております。
結果です。
早産(8.3%)に有意差はありませんでした。
出生児体重(平均3461.7g)に有意差はありませんでした。
出生時身長(平均51.6cm)はTE(後ろのABC)グレードCがAよりも0.4cm長く
有意差がありましたが、筆者らは出生時の長さは1cm単位で測定するものであるため
気にしなくてよいと述べております。
筆者らはこの研究によって
胚盤胞のグレードにより
・早産のriskが変わらないこと
・身長や体重が臨床的に重要なほど変わらないため
患者さん及び医師、培養士も安心していいのではと
報告しております。
私の意見です。
グレードの良い胚ほど妊娠率は高いです。
ただ、あくまで高い傾向にあるだけですので
AAで妊娠しなかったのにBCで妊娠したというのは
何回も経験しております。
グレードが悪い胚というと
まるで生まれてくる赤ちゃんのグレードも悪いように感じでしまいますが
決してそんなことはありません。
グレードが悪かったけど
無事妊娠出来てラッキーだった
以外の事は特に思わなくて良いのではと思います。
私もこのブログを読んでくださっている皆様も
胚盤胞の時はグレードBCだったかもしれません。
どうか気にせず、楽しい妊娠生活をおくっていただければ幸いです。
院長 菊池 卓

静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。