2025年の体外受精・妊娠率を公開|当院における初回胚移植成績とPGT-Aの実績
目次
菊池レディースクリニックの成績(実績)

皆さまに、2025年の体外受精の治療成績をご報告させていただきます。
私たち菊池レディースクリニックは、これまでの治療実績を踏まえ、常により良い結果を目指して診療体制や培養環境の改善に努めております。
その努力が実を結び、この期間の凍結胚移植1周期あたりの妊娠率は54.2%となり、全国平均を上回る結果となりました。
比較対象は、日本産科婦人科学会が公開している全国平均のデータです。
日本産科婦人科学会ARTデータへのリンクはこちらをご覧ください。
【妊娠率を見る際の注意点】
妊娠率には、以下の2種類があります:
妊娠率:
妊娠判定が陽性(hCG陽性)となったすべての症例を含みます。化学流産などの胎嚢が確認できなかったケースも含まれるため、数値は高めに出やすくなります。
臨床妊娠率:
超音波で子宮内に胎嚢が確認された症例のみを対象としたもので、学会発表や論文などでも一般的に使用される指標です。
日本産科婦人科学会の統計もこの「臨床妊娠率」を用いています。
また、一部の施設では「妊娠率/人(患者単位)」で成績を出している場合もあります。
この方式では、たとえば1年に採卵5回・移植5回を行い、最後の移植で妊娠した方も「妊娠1人」とカウントされるため、見かけ上の妊娠率が高くなる傾向があります。
当院では、「凍結胚移植1周期あたりの臨床妊娠率」で成績を集計しています。
全体の臨床妊娠率(年齢別)
まずは、当院の全凍結胚移植(初期胚・胚盤胞を含む)における、年齢別の臨床妊娠率です。
期間中の総移植数は1,052周期、患者様の年齢は25歳から47歳までで、平均年齢は35.7歳でした。すべての方を対象とした成績です。

~34歳 65.8%(273/415)
35~39歳 55.4%(222/401)
40歳~ 31.8%(75/236)
全年齢 54.2%(570/1,052)
43歳未満における初回胚移植の臨床妊娠率(参考)
なお、参考として、43歳未満で当院にて初めて胚移植を行った方に限定した成績もお示しします。平均年齢は34.2歳です。
他院での治療歴がある方や、自費診療から開始された方も含まれるため、厳密な意味での「初回成績」ではありませんが、実臨床に近い「初回移植の目安」としてご覧ください。
35歳未満では、7割を超える方が当院での最初の胚移植において妊娠判定(胎嚢確認)を得られています。

~34歳 72.0%(144/200)
35~39歳 56.7%(68/120)
40~42歳 37.5%(18/48)
全体 62.5%(230/368)
初期胚(分割胚)と胚盤胞の妊娠率の比較
初期胚は培養2〜3日目、胚盤胞は5〜6日目の胚です。
一般的には、より長く培養することで良好胚を選びやすくなり、妊娠率が上がる傾向があります。
しかし、お腹の中の環境は培養室とは異なります。実際、胚盤胞移植では結果が出なかった方が、初期胚の移植で妊娠されることも決して珍しくありません。
大切なのは、初期胚は「胚盤胞になれなかった胚」ではない、ということです。
患者様のお身体との相性によって大きな可能性を秘めた、重要な選択肢の一つです。
詳しくは下記ブログを参照ください。
分割胚(初期胚) vs 胚盤胞 ~どちらで凍結するのがいいのか~

初期胚(分割胚)、平均年齢は39.0歳。
~34歳 60.0%(15/25)
35~39歳 29.5%(13/44)
40歳~ 9.9%(7/71)
全年齢 25.0%(35/140)
胚盤胞、平均年齢は35.2歳。
~34歳 66.2%(258/390)
35~39歳 58.5%(209/357)
40歳~ 41.7%(68/163)
全年齢 58.8%(535/910)
胚盤胞グレード「BC」の妊娠率は?

培養結果で、凍結した胚盤胞のグレードが「BC」だったとお伝えすると、がっかりした表情をされる患者様は少なくありません。
そこで、当院の最近の治療成績から、グレードごとの妊娠率を比較しました。
BCのみ 40.0%(38/95) 平均年齢 36.5歳
AA/AB/BA 67.7%(333/492) 平均年齢 34.4歳
確かに、A評価がつく良好胚と比べると差はあります。しかし、グレードBCの胚で40%という妊娠率は、決して低い数字ではないと私は判断します。
インターネット上の情報では、もっと低い数字が示されることもありますが、実際の成績は培養技術によって大きく異なります。
大切なのは、グレードBCは移植を諦めるような評価では全くない、ということです。
ここまで成長できたこと自体が、素晴らしい生命力を持っている証です。その生命力を信じて、一緒に移植に臨みましょう。
より詳しくは、こちらのブログもご覧ください。
PGT-A(着床前診断)、菊池レディースの妊娠率は?

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)は、胚移植を繰り返しても着床に至らない方(反復着床不全)や、流産を2回以上経験された方(不育症)、さらに年齢とともに染色体異常の頻度が高くなると考えられる方にとって、非常に重要な選択肢となります。
対象は上記の条件を満たした方で、採卵から移植まで全て自費診療となるため、誰もが受けられるわけではありません。そのため、以下の成績は、当院でこれまでPGT-Aを行い、染色体数について移植が可能と判断された胚(A評価・B評価を含む)を移植した、すべての方のデータを集計したものです。
▼ PGT-A(A・B評価胚を含む全体)の臨床妊娠率
臨床妊娠率: 75.6% (65/86)
平均年齢: 37.9歳 (28歳から44歳まで)
75.6%という数字は、非常に良好な成績です。これは、これまで着床に至らなかった多くのケースにおいて、主な原因が『受け入れる側(子宮環境)』ではなく、『移植する胚の染色体』にある可能性が高いことを強く示唆しています。
この考えに基づき、当院では現在、PGT-Aで良好と判断された胚を移植する際には、患者様のご負担となりうる他の着床不全に関する多くの検査を省略しています。それでも、この高い妊娠率を達成できています。
つまり、適切な胚を子宮に戻すことができれば、多くの方がご妊娠に至れるということです。
より詳しくは、こちらのブログもご覧ください。
PGT-A(着床前診断)のメリット・デメリット ~妊娠率・流産率は~
院長より皆様へ
治療成績のご報告を最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。
今回、私たちの実績を公開したのは、患者様ご自身が正確な情報に基づいて納得のいく治療を選択し、前向きに歩んでいただくための「判断材料」をご提供したい、という強い想いからです。
ここに並ぶ数字は、あくまで過去の結果に過ぎません。しかし、その数字の背景には、一つでも多くの命を育むために、私たちが日々積み重ねている培養技術の改善や、個々の患者様に最適化した治療法の模索があることを、どうか知っていただけたら幸いです。
特にPGT-Aの良好な成績は、「適切な胚を移植すること」の重要性を改めて示してくれました。私たちは、この事実から目をそらさず、科学的根拠に基づいた医療を、これからも誠実に提供し続けることをお約束します。
不妊治療は、決して平坦な道のりではありません。だからこそ、私たちはこれからも現状に甘んじることなく、常に知識と技術を磨き、少しでも高い可能性を追求し続けてまいります。
皆様の未来が、温かい光で満たされることを心から願い、明日からの診療もスタッフ一同、全力で臨みます。
菊池レディースクリニック
院長 菊池 卓

静岡県静岡市の不妊治療専門クリニック、菊池レディースクリニック院長。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、特定不妊治療費助成事業指定医療機関。刺激周期を主体としたクリニックと自然周期を主体としたクリニックの2箇所に勤務経験あり。患者様のご希望と体質に応じた治療を行っていきます。
