人工授精にも種類がある。

最初に人工授精の概要について説明します。(当院ではAIDは行いませんので、その話は除外します)

人工とついているので自然な感じはしないのですが、ネーミングよりははるかに自然に近い治療法です。

 

イラストのように精液を専用の容器に入れます。

洗浄液を加えて、遠心分離すると運動性の良い精子が底に貯まります。

良い精子のみをカテーテルで子宮内に送り込みます。

 

受精の過程で人為的な操作は一切無く、精子と卵子が出会う場所の道のりをショートカットしてあげるものです。

適応としては

・精子・精液の質的・量的な異常

(ただし、最低でも運動精子が原精液で1000万以上あること それ以下の方は体外受精ないし顕微授精)

・射精障害、性交障害

・抗精子抗体弱陽性

・頸管粘液分泌不全(子宮頸部円錐切除後など)

・原因不明(機能性)不妊 などです。

 

精子を注入する場所により

子宮頸管内人工授精:ICI

*頸管=子宮の入り口のことです。子宮の入り口が狭く、カテーテルが入らない方に行います。

子宮内人工授精:IUI(イラストの通りです)

卵管内人工授精:FSPに分類されます。

こちらに関しては卵管内人工授精についてを参照下さい。

 

良く行われているのは、子宮内人工授精:IUIです。

一般的に人工授精といえば子宮内人工授精を指します。

 

頸管内人工授精は手技は簡単なのですが、妊娠率が子宮内と比較して低いため基本的に行いません。

卵管内人工授精は詳細は別記事に書きましたが、バルーンカテーテルおよび通常の6~8倍の精子混濁液を使用することにより、より多くの精子を卵管膨大部にまで届けようとするものです。

 

当院ではいずれの手技も行えますが、頸管内人工授精は妊娠率が低いため、原則として行いません。

基本的に子宮内人工授精を行いますが、原因不明(機能性)不妊の方でIUIで妊娠しない方には卵管内人工授精を勧めます。

 

ただ人工授精の妊娠率は?でも書きましたが、人工授精には限界があります。

4回行っても妊娠しなければ、次のステップに進みましょう。

 

院長  菊池 卓

 

 

 

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