不妊治療用語

各用語の文末にクリニック公式ブログのリンクがあります。詳細が気になる方は、ぜひご覧下さい。

タイミング療法

基礎体温やホルモン検査、超音波検査などで排卵日を予測しながら、最も妊娠しやすいタイミングで性交渉を行う方法です。卵胞の計測や血液検査によるホルモン値の測定以外は自然妊娠と同じですが、排卵誘発剤を併用して行う場合もあります。
排卵予測日の少し前にタイミングをとるのがコツです。

人工授精(IUI)

ネーミングよりはるかに自然に近い治療法です。子宮内に管を入れて、精子を直接注入する方法です。精子が子宮へ入る方法が異なるだけで、タイミング法と基本的には変わりません。ただし、タイミング法よりも奥に精子を注入することができるというメリットがあります。自然に近い分妊娠率は低く、1回あたりの妊娠率は7~10%程度です。人工授精で妊娠する方は4〜5回でおよそ90%が妊娠するため、それ以降は体外受精へのステップアップを検討します。

https://ameblo.jp/bunbun2230/entry-12570585910.html

https://ameblo.jp/bunbun2230/entry-12570017510.html

体外受精(IVF)

卵子を体外に取り出して精子と受精させ、子宮内に似た環境を保った培養器(インキュベーター)の中で発育させてから子宮内に戻す方法です。卵管や精子などに何らかの問題があると考えられる場合や、人工授精でも妊娠に至らなかった場合に行われます。

顕微授精(ICSI)

体外受精と同じように卵子を体外に取り出した後、顕微鏡下にて卵子に精子を直接注入することで受精させる方法です。極端に精子の数が少ない乏精子症や無精子症のほか、通常の方法では受精不可能な場合が適応となります。受精後は体外受精同様、培養器(インキュベーター)にて培養をし、発育させてから子宮内に戻します。

卵巣刺激

妊娠率を高めるため、排卵誘発剤を使って質の高い卵子を多く育てることを卵巣刺激といいます。卵巣刺激では、排卵のタイミングを予測できるというメリットもあります。アンタゴニスト法やロング法、ショート法があり、年齢や卵巣機能の状態を考慮して治療を選択します。

採卵

体外受精や顕微授精では、体外で受精させるため卵子を体外へ取り出す必要があり、これを採卵といいます。良質な卵子を複数得るため、排卵誘発剤で成熟、排卵させてから採卵を行います。採卵当日は必要に応じて麻酔をし、経膣超音波にて確認しながら細い針を穿刺して卵胞液ごと卵子を回収します。10〜15分ほどで終了しますが、場合によっては針で組織が傷つき出血することがあります。

媒精

培養液内に卵子と洗浄、調整した運動精子を一緒にさせて受精させることを媒精といいます。媒精には2つの方法があり、一つは濃度調整した精子を卵子にふりかけて受精させる方法(体外受精)と、顕微鏡下で精子を卵子に直接注入する方法(顕微授精)があります。体外受精では、卵管内と同様に自らの力で受精させるため、運動能力の低い精子や数が少ない場合には受精しにくいことがあり、この場合には顕微授精が選択されます。

培養

体外受精や顕微授精で得られた受精卵は、湿度や温度を一定にし、子宮内と似た状態に保ったインキュベーター内で培養します。受精卵は細胞分裂を繰り返してから子宮内に移植されますが、受精から2〜3日後の分割期胚を移植する場合と、5〜6日目の胚盤胞を移植する場合があります。胚盤胞移殖をすることで妊娠率は上がりますが、培養時間が長く、全てが胚盤胞まで発育できるわけではないので、移植の機会が減ってしまうという側面もあります。また、卵子によってはできるだけ早く母体に戻した方が良いこともあり、当院では分割期胚での移植も行っております。

タイムラプス

タイムラプスとは、インキュベーターで培養している胚を観察するための技術です。インキュベーター内にあるカメラ付きの顕微鏡で胚の発育過程を確認することができ、24時間モニタリングが可能となります。また、インキュベーターの開閉が最小限となるので、湿度や温度変化の影響を防ぐことができ、安定した環境で培養することができます。
体外受精や顕微授精の翌日には、卵子と精子由来の前核がそれぞれ並んでいることを確認して受精完了となりますが、時間が経つと融合してしまう前核の存在を確認する手段としても有効です。

胚凍結・胚融解

受精卵である胚を液体窒素で凍結して保存することを胚凍結、必要に応じて融解することを胚融解といいます。胚の着床率を上げるために用いられるほか、複数の良質な胚が育った場合に凍結保存をし、胚移植を次周期以降に行うこともあります。また、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)によって新鮮胚を移植することが難しい場合にも、採卵周期での胚移植を避けるために胚凍結が行われます。

胚移植

培養した胚は、カテーテルを膣から挿入して子宮内へ移植します。初期胚移植では、受精後2〜3日培養した胚を移植し、胚盤胞移植では受精後5〜6日培養して胚盤胞になるまで発育してから胚移植を行います。胚盤胞まで発育することができるのは約半数ではありますが、この状態で移植することで着床率が上がります。子宮内環境が良くない場合や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の場合は胚を一度凍結保存し、次周期以降に胚移植を行います。

黄体期管理

黄体とは、排卵後に卵胞が変化したものでエストロゲンとプロゲステロンを分泌します。これらのホルモンは、子宮内膜の環境を整えるなど妊娠の継続に必要不可欠な役割を担っていますが、黄体の機能が十分ではない場合、つまり黄体機能不全になってしまうと着床しにくくなり、流産を引き起こす可能性が高まります。そのため、黄体ホルモンを内服薬や注射薬、膣剤などで補充して黄体機能の維持に努めます。

妊娠判定

胚移植後、2週間以降に血液検査をして妊娠判定を行います。妊娠成立後、順調に発育していれば、さらに2週間ほどで心拍が確認されます。検査をして陰性であれば着床はしていませんが、出血が見られる場合であっても妊娠していることがあります。

男性不妊

不妊の原因は男女ともに約半数と言われており、男性側の因子による不妊症も珍しくありません。精子は精巣にある精細管で日々作られ、精子となるまでにはおよそ74日かかります。しかし、精索静脈瘤が原因で造精機能障害を有している、精子が体外へ排出されるまでの通り道に何らかの問題がある場合は不妊症を引き起こします。また、遺伝的要素や子供の頃に受けた鼠蹊ヘルニアの手術が原因となっている場合もありますが、精巣内精子採取術(TESE)によって妊娠率を高めることができるようになりました。

セックスレス・ED

不妊症の大きな要因として注目されているのが、セックスレスやEDです。EDは勃起障害とも呼ばれ、勃起自体ができない場合だけではなく、十分な勃起ができず満足できない、勃起までに時間がかかる場合もEDとして捉えられます。
そもそも、勃起とは、性的刺激が陰茎に伝わり、海綿体へ血液が大量に流れ込むことで起こります。成人男性の25%はEDに悩んでいると言われていますが、その原因は様々です。高血圧や動脈硬化などがあると、血液が流れ込みにくく勃起しにくくなりますし、心的ストレスや加齢も大きな要因です。また、不妊症に悩むご夫婦に多いのが、排卵日のみに着目した性交です。男性の心理的負担も招いてしまうことから、普段からのスキンシップも大切にして欲しいと考えています。

無精子症

精液の中に精子が見当たらない場合を無精子症といいます。無精子症には、精子の通り道には問題がないものの精子自体が全く作られていない非閉塞性無精子症と、精子の通り道に問題がある閉塞性無精子症があります。非閉塞性であっても精子が作られていることがあり、この場合はTESE(精巣内精子採取術)によって精巣を切開して精子を探します。閉塞性無精子症の場合は、精路再建術によって精子の通り道を確保する治療が行われます。精液検査は様々な要因によって数値が左右されるため、数回繰り返してから治療法を選択することが望まれます。

乏精子症

精液中に精子は見られるものの、非常に数が少ない場合を乏精子症といいます。WHOラボマニュアルでは1mlの精液中に精子が1500万以上、運動率が40%以上、正常精子形態率が4%以上とされています。乏精子症になる原因としては、無精子症と同じく精索静脈瘤や造精機能障害がありますが、原因不明のことが多く、基準値よりも大幅に下回っているときには体外受精や顕微授精も考慮して治療を進めます。

精子無力症

精液検査で精子の数には問題ないものの、精子運動率が40%以下の場合を精子無力症といいます。自然妊娠の場合、精子は卵子が待つ卵管膨大部まで到達しなくてはなりませんが、運動率の悪い精子無力症ではたどり着くことができません。そのため、人工授精や体外受精などの方法で受精を試みます。また、精子無力症は、運動率に加えて精子の数が少ないことも多く、より受精が難しい場合があります。

不育症

厚生労働省不育症研究班は、妊娠は成立するものの、流産、死産などを2回以上経験する場合を不育症と定めています。不育症は染色体に何らかの問題が生じていることも多く、受精や細胞分裂の過程で妊娠の継続が困難となります。そのため、検査をして問題が見つかれば治療を行いますが、不育症であっても妊娠出産が可能な場合もあります。

高プロラクチン血症

プロラクチンとは、下垂体から分泌されるホルモンで、母乳の分泌を促す働きをします。また、排卵や月経を抑えて次の妊娠を妨げる役割も担っているため、不妊症の原因となります。このように、プロラクチンの値が高い場合を高プロラクチン血症といいます。また、普段は正常値であってもストレスを受けた時や夜間に値が高くなることもあり、これを潜在性プロラクチン血症と呼んでいます。プロラクチンの値が高くなる原因として、ストレスやある特定の薬剤、下垂体の腫瘍などが考えられますが原因不明のことも多く、テルロンやとカバサールいった薬剤で治療を行います。

甲状腺異常

甲状腺とはのど仏の下にある小さな臓器で、新陳代謝や胎児や小児の発達促進、交感神経の刺激などに関わっているのが甲状腺ホルモンです。甲状腺ホルモンは、脳の下垂体から分泌されるTSHによってコントロールされていますが、バランスが崩れ甲状腺異常になると、不妊や流産の割合が高くなることがわかっています。甲状腺機能が低下している甲状腺機能低下症の場合は、甲状腺ホルモンを補充し、妊娠や流産を防ぐ治療を行います。

性感染症(特にクラミジア)

性感染症は不妊の原因となることが多く、特に、クラミジアは自覚症状がないため感染に気がつかないことも珍しくありません。女性がクラミジアに感染すると、卵管閉塞や卵管の周囲に癒着を起こしてしまうほか、流産や早産の原因となることもあります。事前に感染の有無を確認し、必要に応じて抗生物質で治療を行います。

子宮奇形

胎児期に2つのミュラー管が1つになることで子宮が形成されますが、途中の段階で何らかの問題が生じた場合に子宮奇形となる場合があります。女性全体のおよそ5%を占める子宮奇形は子宮や膣の状態によって4つに分類することができ、不妊を引き起こすことがあります。完治は手術しかありませんが、子宮の形や状態によっては問題なく妊娠することができます。

凝固機能異常(抗リン脂質抗体)

凝固機能異常の中でも抗リン脂質抗体は、不育症の原因の一つだといわれています。免疫異常によって自己を攻撃する抗体が作られ、血液が固まりやすくなってしまうので流産を引き起こすことがあります。治療法としては、アスピリンとヘパリンを併用することで妊娠率が上がることがわかっています。

染色体異常

流産のおよそ8割は染色体異常が原因であり、これを治療で防ぐことはできません。日々新しく作られる精子と異なり、卵子は胎児期に一生分の卵子が作られ、時期になると再び成長して排卵するという仕組みになっています。そのため、年を重ねるとともに卵子も老化して染色体異常が増え、40歳を超えると流産率は50%を超えます。

排卵誘発(hMG-hCG療法・FSH-hCG療法・クロミッド療法)

排卵障害や人工授精、体外受精などを行うときに排卵誘発剤を使って卵胞を発育させ、排卵を促進させることを排卵誘発といいます。
クロミッド法では、内服薬であるクロミッドを服用して卵巣を刺激します。長年使用されている薬で副作用は少ないですが、効果も弱いため軽い排卵障害の場合などに用いられます。
クロミッドで効果がない時には、hMG-hCG療法を行います。この方法は、hMGを注射してから卵胞を発育、成熟させてからhCGを注射し、卵胞が20mmほどの大きさになった時点で排卵させます。クロミッド法と比べて刺激が強いため卵巣が腫れ、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりやすいという側面があります。hMGはFSHとLHの成分が混在していますが、遺伝子組替によってLHを除いたFSH製剤を用いることもあります。


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