クラミジアが陽性と言われたら?

クラミジアは卵管周囲の癒着や卵管の通過障害、卵管水腫を引き起こし、不妊症や異所性妊娠(子宮外妊娠)の原因となります。

 

そのため、不妊症のスクリーニング検査の1つでもあるのですが

 

『クラミジア陽性』。

 

実は解釈が非常に難しいです。

 

性感染症(性交渉で感染)であることから、デリケートな問題であり、伝え方には非常に苦慮することも多いです。

大好きな漫画『コウノトリ』にも取り上げられています。

 

 

説明します。

 

クラミジアは細菌とウイルスの半分ぐらいの大きさの病原体です。

性交渉によって感染します。

細胞内で増殖するため自覚症状が出にくく、子宮頸管炎の90%が無症状と言われています。

 

感染した女性の約50%は自然治癒しますが、治療せずに放置すると持続感染に移行します。

さらに、10%が上行感染し卵管炎や骨盤内炎症性疾患、肝周囲炎を引き起こします。

(J Infect Dis.2000;182:909-916.)

 

子宮に感染したクラミジアが肝臓に到達するというと驚かれる方が多いですが、総合病院に勤務していると時折遭遇します。

女性が右上腹部を痛がっていたら、クラミジアの検査をする必要があります。

 

検査方法として2つあります。 

①抗原(菌体)検査

子宮の頸管(入り口)をこすって、クラミジアがいるかどうか直接調べます。

 

メリット:わずかな菌体でも陽性になる。感度、特異度共に高い。

 

デメリット:直接触れられるところまでしかわからない。

卵管や腹腔内にいるクラミジアには届きません。

 

②抗体検査

採血でクラミジアIgAとIgGを測定します。

IgAは比較的早い時期の感染を示し、治癒後は陰性になるとされています。

IgGは比較的遅い時期の感染や過去の感染を示すとされています。

 

メリット:抗原検査では届かない卵管周囲炎や肝周囲炎の診断も可能。

 

デメリット:治療後の陽性が長期間持続することがある。(治療の効果判定ができない)

感染のごく早期には上昇しない。

 

不妊症の検査としては、②の抗体検査が陽性であると卵管閉塞との相関性があることから②の抗体検査が勧められます。

 

治療対象

行った検査が『抗原』なのか『抗体』なのかで変わってきます。

 

①の抗原検査が陽性の場合は、現時点で子宮内にクラミジアがいますので治療を行います。

わかりやすいですし、薬が効けば再検査をすれば陰性になります。

 

②の抗原検査が陰性で抗体検査が陽性の場合は、悩ましいです。

抗体検査は、実際にクラミジアそのものをみているわけではなく、自然治癒している可能性もあります。

(症状がないため、他の病気で処方された抗生剤で改善している可能性もあります)

IgA抗体が治癒後も高値を維持していることも経験があります。

 

 

しかし、同様に卵管内や腹腔内にクラミジアがいる可能性も否定できないので、夫婦間に治療歴が無い場合は治療を行います。

 

治療としてはアジスロマイシン 1000mg の1回投与です。

効果がなければ他の抗生剤を使用します。

性感染症のためパートナーとの同時治療が大事です。

 

クラミジアは不妊症の原因となるものであり、抗生物質の内服のみで治療できることからできるため、まずはじめに受けるべき検査です。

 

ただ1つ、頭に入れておいていただきたいのが

クラミジアは症状が出にくく、自然治癒を来すこともあります。

そのため、自分とパートナーのどちらが先に感染したのかはわからないこともあります。

また、抗体検査が陽性でも過去の感染を見ているだけかもしれません。

 

これから妊娠に向けて一緒に頑張ってパートナーです。

性感染症診断・治療ガイドラインでも確実な薬剤の服用とパートナーの同時治療があれば、再発はないと考えられるとされています。

 

早急に治療し、次のステップに向かいましょう。

 

院長  菊池 卓

 

 

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