黄体機能不全かも?

『黄体機能不全かどうか調べてください』と患者さんからよく言われます。

 

結論からいいますと『黄体機能不全を調べる意味はありません』

一般不妊治療(体外受精ではない)の場合です。

 

そもそも、黄体というものは排卵後に卵胞が変化したものです。

その名の通り黄色なのですが、着床、妊娠に必要なプロゲステロン、エストロゲンを分泌しています。

 

黄体機能不全というのは、文字通り黄体の機能が低下して、主にプロゲステロンの分泌が減り着床不全や流産が起こると言われているものです。

 

診断方法として、一般的には

 

①  基礎体温表が10日以下

 

②  黄体期(排卵後~生理開始まで)中期の3ポイントで採血し、いずれも血中プロゲストンが10ng/mLの場合

 

③  子宮内膜日付診の異常の3つのうちいずれか1つでも該当すれば黄体機能不全と診断するとされています。

 

 

細かく説明していきます。

 

    基礎体温表については、その正確性が疑問視されます。

元々基礎体温自体が睡眠時間やアルコールの有無、空調や季節など様々な条件で変化してしまいます。

 

黄体から出るプロゲステロンが、脳の視床下部にある体温中枢を刺激して高温相になりますが、プロゲストンが高くなればなるほど体温が上昇するというものではありません。

 

    プロゲストロンの測定は採血で行うのですが、パルス状に分泌されることから、かなり測定値にばらつきがあります。

(90分で8倍のばらつきがでるとする報告もあります。J Clin Invest 1984;73:1638-1647)。

 

少し低めに出ても、しばらく後に測定したら10ng/mL以上だということはあり得ます。

また、10ng/mLという値も明確な根拠があるわけでは無く、10ng/mL以上でなくとも妊娠が成立します。

採血は痛いものですので、1ヶ月に3回も採血する意味はありません。

 

   子宮内膜日付診は子宮の内膜を採取し、顕微鏡でその状態を調べるものです。

正確性に欠け、何よりも内膜組織の採取は痛みを伴うためお勧めしません。

 

上記のように黄体機能不全は診断方法が難しく、積極的な診断・治療は推奨されておりません。

一般不妊治療(体外受精ではない)の場合です。

 

そのため『黄体機能不全が心配なので検査や治療をしてください』と言われても、あまり意味はないですよと話すのですが、なかなかご理解いただけないことが多いです。

 

どうしても治療を希望の方は、デュファストンでしたら胎児への影響も少なく、費用も安いため内服することも許容されると考えます。

 

院長  菊池 卓

 

 

 

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